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がん関連疲労には魚油より大豆油

 2019年03月20日 06:00

 がん関連疲労は、抗がん薬治療や放射線治療の副作用としてよく見られる。抗炎症作用を持つ魚油は、がん関連疲労の軽減に有効だと期待されている。米国・ロチェスター大学医療センターの研究グループは、乳がん患者を対象に試験を実施し、実際にはω-3脂肪酸を含む魚油より、ω-6を含む大豆油の方が有効であったとJNCI Cancer Spectr(2019年2月21日オンライン版)に報告した。

ω-3脂肪酸とω-6脂肪酸を比較

 ω-3脂肪酸を含有する魚油サプリメントは、米国では長年にわたり心臓病などさまざまな疾患の治療や予防、状態改善のために広く使われてきた。しかし、これまでに発表された多くの研究では、最終的な結論を下すだけの十分なエビデンスがない、または魚油サプリメントを摂取する利益はないとしている。

 しかし、魚油には抗炎症作用があり、これまでの研究で疲労と炎症が関連することが示され、魚油の有益性が示唆されている。そのため研究グループは、がん患者が経験する激しい疲労の軽減に魚油が役立つかどうかを明らかにする目的で、女性乳がんサバイバー80人を対象に魚油(ω-3)と大豆油(ω-6)で比較した。

 研究グループはまず、問診票などを用いて乳がんサバイバーのがん関連疲労を評価し、血液検査で炎症性タンパク質を測定した。その後、①魚油を多く含むサプリメント(6g/日)を服用する群②魚油と大豆油を少量ずつ含むサプリメント(各3g/日)を服用する群③大豆油を多く含むサプリメント(6g/日)を服用する群−の3群に分け、6週間服用してもらった。

最重度の疲労で効果最大

 服用前後でがん関連疲労を比べたところ、疲労の軽減は3群全てで示されたが、軽減が最も大きかったのは大豆油群で、効果が最大だったのは試験開始時に最も重度のがん関連疲労を報告していた女性であった。

 研究グループは「血液サンプルから得られたデータにより、魚油は大豆油とは異なる抗炎症作用を持っていることが分かった。魚油サプリメントは炎症マーカーのレベルを低下させたが、大豆サプリメントは、炎症性蛋白質を低下させた」と述べている。

医師に相談なしで大豆油サプリメントを服用しない

 今回の研究で大豆油による良好な成績が示されたが、乳がんで最も多いタイプであるホルモン受容体陽性乳がんで治療中の多くの女性は、大豆の摂取に慎重になっている。豆腐や豆腐加工食品など、一部の大豆製品はイソフラボンを含有しており、イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲン様の作用により、がんの再発リスクを高める可能性があるためである。

 研究グループは、今回使用した大豆油サプリメントがイソフラボンを含んでいなかったことを強調している。また、「がん関連疲労を改善するための大豆油摂取を支持する十分なエビデンスはまだない」とし、いかなる理由でも医師に相談することなく大豆油サプリメントを摂取しないよう注意。「炎症、食物性脂肪、がん関連疲労の間の関連を完全に理解するには、さらに研究が必要だ」と述べている。

(あなたの健康百科編集部)

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