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休暇太りは毎日の体重測定で防ぐ

 2019年05月28日 06:00

 「肥満」とは健康に悪影響をもたらす過剰な脂肪蓄積であり、糖尿病や高血圧、心血管疾患、がんといった200を超える病気のリスクを高める原因となる。全世界で約12億人が肥満状態にあるとされる。米国の研究グループは、毎日の体重を測定するだけで休暇時の体重増加を防げることを明らかにし、医学誌Obesity2019; 27: 908-916)に報告した。

休暇中の家族や友人との食事会が体重増加の大きな原因

 体重増加の原因としては、日々の余剰エネルギー(エネルギー摂取量と消費量の差)の蓄積よりも特定期間(長期休暇など)の余剰エネルギーの蓄積の影響が大きいといわれており、肥満を避けるためには休暇時の体重増加を防ぐことが重要となる。米国では、11月下旬から1月にかけての「ホリデーシーズン」がこれに該当する。ホリデーシーズンの体重増加は、家族や友人と一緒に食事をする機会が増えて節制のハードルが下がり、エネルギー摂取量が消費量を上回るためと考えられる。

 これまでの研究から、体重管理には毎日の体重測定が効果的であることが示されている。また、測定結果をグラフにして体重変動を可視化することで体重管理を強化できるとの報告もある。研究グループは今回、この体重管理の手法により休暇時の体重増加を抑制できるかを検討した。

 研究に参加した111人を、毎日の体重測定と測定結果のグラフ化を行うグループ(体重測定グループ:56人)と体重測定を行わないグループ(対照グループ:55人)に分け、感謝祭前(11月の第4木曜日)、年明け後、年明けから14週間後の3回来院してもらい診断した。なお、体重測定グループは体重を維持するように指導されたが(ただし、具体的な維持方法についての指導は行わない)、対照グループにそのような指導はなされなかった。

毎日の体重測定と測定結果のグラフ化で体重増加を抑制

 感謝祭から年明けの体重変動は、対照グループでは平均で約2.7kg増加したのに対し、体重測定グループではほとんど変わらなかった。過体重/肥満(BMI 25以上)の人と標準体重(BMI 18.5~24.9)の人の比較では、対照グループではどちらも同じくらい体重が増加したが、体重測定グループでは過体重/肥満の人は体重が減少し、標準体重の人はほとんど変動がなかった。

 年明けから14週間後の体重変動については、体重測定グループではほとんど変わらなかった。対照グループでは一部の人で体重減少が見られたが、体重が減らない人が57%を占め、最終的に、感謝祭から年明け14週後にかけて平均で約1.5kg増加した。

 これらの結果から、毎日の体重測定と測定結果のグラフ化により、休暇時の体重増加を抑制できたことが示された。ただし、この抑制効果が純粋に毎日の体重測定によるものなのか、それとも体重維持の指導が影響しているのかが不明である。また、研究者による体重変動のチェックが参加者に心理的な影響を及ぼした可能性も否定できない。研究グループは「これらの要素を排除したさらなる研究が求められる」と結論している。

(あなたの健康百科編集部)

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