ほくろの形や数で皮膚がんの危険性を判定
2019年09月26日 06:00
身体の至る所にあるほくろ。普段あまり気にかけない人も少なくないが、その形や数は、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)の発症率に関連するという、意外な研究結果が明らかになった。オーストラリア・University of QueenslandのRichard A. Sturm氏らは、ほくろを形態別に分類したところ、網状、小球状といったはっきりした(特異的な)形態を持たないほくろが多い人は、メラノーマを発症しやすくなることが分かったという。研究結果の詳細はJ Invest Dermatol(2019年8月14日オンライン版)に報告された。
ほくろ全体の数ではなく形態別の数が関与
Sturm氏らは今回、ほくろの種類がメラノーマの発症率にどのような影響を及ぼしているのかを検討する目的で研究を実施した。研究対象は1,200人で、このうち半数はメラノーマ患者であった。
研究では、皮膚の状態を検査するダーモスコピーという機器を使用してほくろを形態別に分類(写真)し、約9年間追跡調査した。
写真. ほくろの形態(左から網状形態、小球状形態、非特異的形態)
(The University of Queensland)
すると、小球状や網状などの特異的なほくろが多い人に比べ、非特異的な形態のほくろが多い人ではメラノーマを発症しやすいことが分かった。具体的には、非特異的な形態のほくろが1つ増えるごとにメラノーマのなりやすさが2%上昇したという。
一方、小球状のほくろは年を取るにつれて減少し、50~60歳時には消失することが多かった。
また、網状のほくろも年を取るにつれて減少するが、非特異的な形態に変化する危険性が高かったという。
これらの結果について、同氏は「加齢に伴い、非特異的な形態を示すほくろが増え、メラノーマを発症する危険性も高まる」と説明。加えて、「ほくろの全体数よりも、形態別にほくろの数を調査する方が、メラノーマのなりやすさを評価する上で有用であることが分かった」と述べた。
(あなたの健康百科編集部)