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良質な睡眠でパーキンソン病が改善

 2019年10月24日 06:00

 社会の高齢化が進むにつれて患者数が増えているパーキンソン病。日本では、アルツハイマー型認知症に次いで2番目に多い神経変性疾患で、四大運動症状として①安静時振戦(震え)②動作緩慢・無動③筋固縮(アキネジア:筋肉がこわばって動かしにくくなる)④姿勢反射障害(転びやすくなる)-が現れることが知られている。今回、そのうちの1つと睡眠の質が関連していることが明らかになった。奈良県立医科大学脳神経内科学講座准教授の形岡博史氏らが、研究結果をSleep2019年9月26日オンライン版)に発表した。

早朝アキネジアで行動が制限されることが問題に

 パーキンソン病患者では、早朝にアキネジアの症状が出現することで洗顔やトイレ、着替え、朝食といった日常行動が制限され、QOLが低下してしまうことが問題になっている。

 最近の研究から、体内時計の周期の乱れが睡眠障害やうつ病をはじめ、多くの病気の発症と関連することが分かっている。パーキンソン病患者では特に体内時計の乱れが顕著で、睡眠の質や量と早朝アキネジアが関連するとの指摘もある。しかし、これまで科学的根拠に基づいた報告はなかった。

 そこで形岡氏らは、パーキンソン病と睡眠や体内時計との関連を検討する研究PHASE studyの一環として、腕時計型のアクチグラフ(自動的に人間の活動・覚醒と休止・睡眠のリズムが測定できる加速度計)を用いてパーキンソン病患者の離床後2時間における身体活動量と睡眠効率を測定。朝の身体活動と睡眠の質の関連を検討した。

アクチグラフを装着して6日間連続測定

 対象はパーキンソン病患者157例(平均年齢71.4歳)。利き手でない方の手首にアクチグラフを装着し、6日間連続で身体活動量と睡眠効率を測定。低活動時間はアクチグラフのカウントが100回/分未満と定義した。

 検討の結果、全体の離床後2時間における低活動時間は55.7分、睡眠効率は72.1%だった。

 睡眠や身体活動に影響を与える因子を調整した分析では、良好な睡眠効率と朝の低活動時間の短縮に有意な関連が認められ、睡眠効率が1ポイント上昇するごとに低活動時間は5.7分(約10%に相当)減少した。

 こうした関連は、低活動時間の定義を50回/分未満に変更しても、離床後1時間に限定しても一貫して見られた。

 研究の結果を踏まえ、形岡氏らは「今回、パーキンソン病患者において睡眠の質が早朝アキネジアと関連することが示唆された。睡眠の質を改善することで、早朝アキネジアならびにQOLの改善につながる可能性がある」と結論。「今後、追跡調査や詳細な解析を行い、パーキンソン病患者の睡眠と運動症状の関連、メカニズムなどを解明したい」と展望している。

(あなたの健康百科編集部)

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