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痛み止めで女性糖尿病患者の認知症を予防

 2019年12月16日 06:00

 解熱鎮痛薬として知られるアスピリンは、少量の投与で血液をさらさらにする効果があり、脳卒中や心血管疾患の再発予防のために広く服用されている。兵庫医科大学らの研究グループは、糖尿病患者に対するアスピリンの効果を検討した試験の追跡研究を実施。2型糖尿病女性患者に低用量アスピリンを投与すると、認知症の発症リスクが下がることが明らかになったと発表。詳細は、米国糖尿病学会の機関誌Diabetes Care(2019年12月5日オンライン版)に報告された。

認知症発症リスクが42%減

 日本人の認知症患者数は年々増加傾向にあり、2012年時点で462万人に上る。認知症のリスクは加齢とともに高まるが、特に高齢の糖尿病患者では高血糖状態が持続することで認知機能が低下し、発症リスクはアルツハイマー型認知症で約1.5倍、脳血管性認知症で約2.5倍に高まるといわれている。

 研究グループは今回、日本全国の163施設が参加し2型糖尿病患者の心血管イベント(突然死、心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)初発予防効果を検証したJPAD試験の追跡研究を実施。低用量アスピリンの投与が認知症の発症リスクに及ぼす影響を検討した。

 対象は、2002年~17年にJPAD試験に登録されたアテローム動脈硬化症を発症していない日本人2型糖尿病患者2,536人。低用量アスピリン(81~100mg/日)を投与するグループ(1,259人)と非投与グループ(1,277人)で認知症発症の有無を比較した。

 その結果、追跡期間(中央値11.4年)中に128人が認知症を発症した。全体では、低用量アスピリン投与グループと非投与グループで認知症の発症率に差は認められなかった。

 男女別に認知症発症率を解析したところ、男性ではアスピリン投与の有無にかかわらず認知症発症リスクに差はなかったのに対し、女性では非投与グループに比べ低用量アスピリン投与グループでは発症リスクが42%低かった。なお、性以外に発症リスクと関連する要素は認められなかった。

 研究グループは「今後さらに追跡調査を継続し、将来的に低用量アスピリンが認知症予防薬として活用されることに期待したい」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)

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