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健診でパーキンソン病や認知症のリスクが分かる?

 2020年02月18日 06:00

 名古屋大学大学院神経内科学教授の勝野雅央氏らは、健康診断の受診者を対象に日本人の一般人口におけるレビー小体病〔パーキンソン病(PD)とレビー小体型認知症(DLB)〕の前駆症状(病気の前兆として現れる症状)の保有率を調査。自覚症状のない50歳以上の健診受診者の5.7%に2つ以上の前駆症状を有する高リスク者が存在することを見いだしたとJ Neurol(2020年2月7日オンライン版)に報告した。

アンケートを実施

 認知症などの神経変性疾患では、臨床症状の発症に10〜20年先行して異常蛋白質の蓄積が生じていることが明らかになってきており、発症前に病態を抑制することが重要であると認識されている。αシヌクレイン(異常蛋白質)が神経細胞内に蓄積することが特徴であるレビー小体病は、難治性の神経変性疾患である。

 レビー小体病では症状が現れる10年以上前から便秘やレム睡眠行動障害(RBD)、嗅覚障害などの前駆症状を呈することが注目されている。また、画像検査による早期診断も可能であることが明らかになりつつあるが、日本人の一般人口における前駆症状の保有率や高リスク者を見つける方法は不明であった。

 そこで、勝野氏らはJA岐阜厚生連久美愛厚生病院(岐阜県高山市)、だいどうクリニック(名古屋市)の2つの検診センターと連携し、これらの施設の健診受診者(年間1万2,378例)を対象にしたレビー小体病の前駆症状に関するアンケートと高リスク者の疾患管理データベース構築を目的に研究を行った。

高リスク者には患者に似た前駆症状

 研究の結果、自覚症状がない4,953例の健診受診者から得られた自記式調査票の解析において、50歳以上の健診受診者(2,726例)中155例(5.7%)がRBD、嗅覚低下、自律神経障害(便秘)のうち2つ以上の前駆症状がある高リスク者に該当することが分かった()。また、高リスク者は他の症状(うつや日中の眠気)のスコアも高く、レビー小体病患者に似た前駆症状があった。

図. アンケート調査による高リスク者の同定

(名古屋大学プレスリリース)

 高リスクの男性では血液検査で貧血が認められ、総コレステロールやLDLコレステロールが低かった。先行研究では、貧血やコレステロール低値は将来のPD発症の危険因子であることが報告されており、今回の研究でも同様の結果が得られた。

 勝野氏らは「日常診療で神経症状がないレビー小体病高リスク者を見つけることはとても難しいが、この研究の結果から、健診制度を利用した疾患管理データベースの活用により、簡単なアンケートで神経変性疾患・認知症の高リスク者を見つけ出すことが可能なことが示された」と結論している。

(あなたの健康百科編集部)

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