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側弯症の学校検診で使える医療機器が発売

 2020年03月05日 06:00

 脊柱(背骨)がねじれて曲がる脊柱側弯症。小学生から中学生年代の特に女児に発症することの多い病気で、13~14歳女児の有病率は2.5%と報告されている。この病気は早期に発見し、進行を抑えることが重要だが、一次検診(最初の検査)となる学校検診の現場では精度や効率などの問題が指摘されている。そのような中で今年(2020年)2月27日、脊柱側弯症の早期発見に役立ち、学校検診にも導入可能な医療機器が発売された。

視触診が学校医と生徒、双方の負担に

 脊柱側弯症による脊柱の変形は成長とともに進行することが多く、腰痛や背部痛、呼吸機能障害などが生じることがある。そのため、早期に発見して治療を開始することが側弯の進行防止につながる。

 わが国では、1978年の学校保健法(現在の学校保健安全法)の改正に基づき、脊柱側弯症に対する一次検診として学校検診が義務化されている。学校検診で疑いが認められた場合には、二次検診としてX線撮影により側弯の有無と程度が評価され、さらにその後に整形外科医により診断が行われる()。

図.わが国での側弯症検診

*モアレ(しま模様)

(スペースビジョン/日本医療機器開発機構/日本臓器製薬/東京都予防医学協会のプレスリリースより)

 しかし肝心の学校検診の現場では、学校医が限られた時間の中で大人数の検査をしなければならず、詳細な視診・触診を行うのにも限界がある。さらに、学校内で視診・触診を実施することについては、学校医と児童・生徒の双方にとって負担が大きいことも指摘されていた。

X線を使わずに3D撮影が可能

 そのような中で、慶應義塾大学と名古屋工業大学による大学発ベンチャー企業であるスペースビジョンは、学校検診を実施している東京都予防医学協会からの相談を受け、学校検診にも導入可能な医療機器「3DバックスキャナーTM」を慶應義塾大学医学部・理工学部と共同開発。日本臓器製薬が今月に販売を開始した。

 同製品は、LED光源を使用し、X線を使わずに身体背部の三次元(3D)撮影が可能。脊柱の弯曲を視覚的に描出するために、モアレ様画像へ変換することができる。また専用のパソコン上にある撮影ボタンを押すだけで撮影ができ、取得した画像情報(モアレ様画像と3D情報)は撮影場所や個人情報とともに管理することができる。さらに専用のキャリーケースに収納することで、学校検診の現場で想定される持ち運びも可能であるという。

 こうした新たな医療機器の開発により、学校検診における側弯症の判定精度の向上が期待される。

(あなたの健康百科編集部)

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