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糖尿病患者は朝食をしっかり食べよう

 2020年03月16日 06:00

 2型糖尿病患者は、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患(CVD)を発症するリスクが高く、原因の1つとして血管壁の内側にコレステロールがたまり血管が狭くなる動脈硬化が挙げられる。そのため、2型糖尿病の治療では動脈硬化の発症・進展を予防することが重要となる。順天堂大学大学院代謝内分泌内科学准教授の三田智也氏、教授の綿田裕孝氏らは、2型糖尿病患者の生活習慣と動脈硬化との関連を検討。朝食を抜く回数が多い人では動脈硬化が持続的に進行していたと、BMJ Open Diabetes Res Care2020; 8: e001162)に発表した。

アンケート結果と動脈壁の硬さのデータを解析

 2型糖尿病患者が動脈硬化を発症する要因として、高齢、血糖コントロール不良、高血圧などが知られている。また、これらに加えて睡眠の質の低下や身体活動量の低下といった特定の生活習慣が動脈硬化と関連していること、糖尿病のない一般人でも朝食を抜くと無症候性アテローム動脈硬化のリスクが増加することも報告されている(関連記事参照)。しかし、2型糖尿病患者のどのような生活習慣が動脈硬化を引き起こすかについて調べた研究は少ない。

 そこで三田氏らは今回、2型糖尿病患者の生活習慣と予後、臓器障害、代謝との関連について調べた研究のデータを解析し、生活習慣が動脈硬化に及ぼす影響を検討した。

 対象は、2013年6月~14年1月に順天堂医院などで登録した外来通院中でCVDにかかったことがない成人2型糖尿病患者736人(25歳以上70歳未満)。登録時、2年後、5年後に実施したアンケート結果と上腕・足首脈波伝播速度(baPWV:動脈壁の硬さを表す指標)の測定データを使って、生活習慣と動脈硬化の関連を解析した。

 生活習慣については、朝型/夜型の生活パターン、睡眠の量と質、うつ状態、食事摂取量、飲酒量、喫煙状態、朝食摂取の有無、夕食の時刻、身体活動レベルなどを評価した。baPWVは左右の平均値を用い、末梢静脈疾患の人は対象から除いた。

朝食を食べない人は生活習慣が乱れている割合も高い

 1週間当たりの朝食回数で3グループに分けて解析したところ、朝食回数が7回のグループに対し、4回未満のグループではbaPWV値が統計学的に有意かつ5年にわたり高値を示した()。

図. 1週間当たりの朝食回数別に見たbaPWV値の推移

BMJ Open Diabetes Res Care 2020; 8: e001162)

 年齢、性、血糖コントロールなどの結果に影響を及ぼす要因を調整した後も、朝食回数が少ないことはbaPWVの持続的な高値と関連していた。

 また、4回未満のグループでは観察期間を通じてHDLコレステロール(善玉コレステロール)値が低く、体格指数(BMI)と尿酸値は高く、夜型の生活パターン、睡眠の質が不良、うつ傾向、飲酒量が多い、夕食の時刻が遅い、中食や外食の頻度が多いなど生活習慣が乱れている割合も高かった。

 これらの結果を踏まえ、三田氏は「2型糖尿病患者では朝食の欠食と動脈硬化が関連しており、その影響は5年間にわたり持続することが分かった。朝食を抜くことだけが原因とはいえないものの、CVD予防の観点からも朝食の重要性が示唆された」と結論している。

(あなたの健康百科編集部)

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