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少量の血液で認知症を診断する手法を発見

 2020年03月27日 06:00

 少量(30μL)の血液から認知症のリスクの診断を可能にする4種類のペプチド(蛋白質を構成するアミノ酸が2つ以上結合した物質)を発見したと、岡山大学大学院とプロトセラの共同研究グループが J Alzheimers Dis2020; 73: 217-227)に発表した。

 国内の認知症患者は年々増加しており、2025年には750万人に達し、高齢者の5人に1人が発症すると予測されている。認知症の中で6~8割を占めるアルツハイマー病(AD)患者の脳内には、アミロイドβ(Aβ)やタウという蛋白質の蓄積や凝集が認められ、神経細胞死を引き起こす原因になると考えられている。

 研究グループは、ADの前段階の軽度認知機能障害(MCI)60人、AD患者99人、健常者100人の血液を解析。その結果、MCIとAD患者に特異的に存在する4種類のペプチドを発見した。これらのペプチドを用いて、AD患者およびMCIを正確に識別でできる割合は87%だった。また、認知機能を測定する検査法であるミニメンタルステート検査(MMSE)スコアと今回発見したペプチドを用いた新手法で得られたスコアには良好な相関が見られた。

今春に検査法を提供へ

 ADの診断には、脳脊髄液中のAβやタウを測定し、脳内での蓄積状況を評価したり、脳内に沈着した放射性物質の測定が有用とされている。ただし、脳脊髄液は腰に針を刺して採取する必要があるため体への負担が大きく、簡便で負担の少ない新たな診断手法が求められている。
 これに対し、血液を用いてAβやタウなどの蓄積を調べる測定法は、まだ診断技術として確立されていないものの、現在用いられている診断法より侵襲性が低く、実用的との期待が高い。

 プロトセラは今回発見したペプチドによるバイオマーカーを指標として、MCIの発見やADの発症リスクを約1週間程度で判定する検査法を開発し、自由診療で受けられるサービスとして今春に医療機関に提供を開始する予定としている。

(あなたの健康百科編集部)

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