【抄録】
エビデンスに基づいた診療を行う上では、その疾患の診療ガイドラインは強力な後ろ盾となります。診療ガイドラインとは、米国国立アカデミー医学研究所による定義では Clinical practice guidelines are statements that include recommendations intended to optimize patient care that are informed by a systematic review of evidence and an assessment of the benefits and harms of alternative care options. と定義されており、それまでに発表されている各々の治療に対する臨床試験の結果やシステマティックレヴュー等が重要なエビデンスとなります。これまでの多くの診療・治療ガイドラインでは、これらのエビデンスを様々な評価方法を用いて各々の治療の推奨度を決定してきました。そのために使用する評価方法によってその治療の"おすすめ度"の表現方法が異なり、利用者は混乱を強いられてきた経緯があります。近年、Grades of Recommendation, Assessments, Development and Evaluation (GRADE)と呼ばれる評価システムがNICEやWHO、コクランライブラリー等に採用されており、統一されたエビデンスの評価方法として注目されています。GRADEでは、エビデンスの質と推奨度を系統立てた評価方法によって決定しています。しかしながら、本邦ではこのシステムはまだ一般的に浸透はしていません。
今回のセミナーでは本システムを利用したガイドラインの作成方法を紹介し、エビデンスに基づいた診療(特にパーキンソン病)を行う上で何が必要であるのかという点を議論してみたいと思います。
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