第2の骨形成促進薬の命運
抗スクレロスチン抗体romosozumabの米国での承認見送りに思う
東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長 川口浩
2017年09月12日 12:00
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第Ⅲ相試験で強力な骨折予防効果示す
米食品医薬品局(FDA)は、米・アムジェン社とベルギー・UCB社が承認申請していた骨粗鬆症治療注射薬romosozumabについて、現時点では承認しないことを示す審査完了報告通知(CRL)を今年(2017年)5月に発出した。
Romosozumabは、副甲状腺ホルモン(PTH)製剤テリパラチド(商品名フォルテオ)に次ぐ画期的な骨形成促進薬として、その承認について国際的な注目を浴びていただけに、今回のFDAの決定は世界中の骨粗鬆症の研究者・臨床医を驚愕させる結果となった。
RomosozumabのFDAへの承認申請の基盤となる第Ⅲ相臨床試験は3つある。FRAME試験(7,180例の閉経後骨粗鬆症女性が対象:N Engl J Med 2016;375:1532-1543)、ARCH試験(4,093例の骨折高リスクの閉経後骨粗鬆症女性が対象)、BRIDGE試験(少数例の骨粗鬆症男性のみ対象)である。
この中では、既に公表されていて最も大規模なFRAME試験だけが注目されており、プラセボと比較して「骨量を著明に上げ、椎体骨折の発生を強力に抑制し(しかし非椎体骨折は有意差なし)、有害事象も変わらなかった」という事実だけが世界中に周知されていた(関連記事「抗スクレロスチン抗体で椎体骨折リスク7割減」)。当然、海外でも日本(アステラス・アムジェン社が販売予定)でも、今年中に承認・発売されるものと期待されていた。