〔解説〕発症時刻不明な脳梗塞でも治療対象に
熊本市民病院 橋本洋一郎
2018年05月23日 06:08
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〔編集部から〕発症時刻が不明の脳梗塞では、最終未発症時刻(元気であることが確認された最終時刻)をもって発症時刻とすることとなっており、朝目が覚めたら麻痺していたという症例の多くはrt-PA製剤アルテプラーゼ静注療法の適応になっていない。欧州脳卒中協会年次集会(ESOC 2018、5月16~18日、イエーテボリ)で発表されたWAKE-UP試験では、発症時刻が不明の脳卒中急性期で、MRI拡散強調画像(DWI)のFLAIR画像に脳梗塞を示す信号変化が認められない(DWI-FLAIRミスマッチ)患者において、rt-PA静注による血栓溶解療法とプラセボ投与を比較した結果、rt-PA群の方が90日後の機能的転帰が良好であった。この結果は、N Engl J Med(2018年5月16日オンライン版)に同時掲載された(関連記事「rt-PAで発症時刻不明脳卒中患者の転帰が改善」)。同研究の意義について熊本市民病院の橋本洋一郎氏に解説してもらった。