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カフェイン代謝遅いとコーヒー3杯で有害

アルブミン尿、過剰濾過、高血圧のリスク上昇

2023年02月27日 16:40

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 カナダ・University of TorontoのSara Mahdavi氏らは、イタリアの前向きコホート研究Hypertension and Ambulatory Recording Venetia Study(HARVEST)に参加した未治療のステージ1高血圧患者604例を対象に、カフェイン代謝酵素シトクロムP450(CYP)1A2の遺伝子多型と腎機能障害リスクとの関連を検討。カフェイン代謝が遅い遺伝子型の患者では、コーヒー1日1杯未満と比べ3杯超の大量摂取により、アルブミン尿(24時間尿中アルブミン排泄量30mg以上)、過剰濾過〔推算糸球体濾過量(eGFR)150mL/分/1.73m2以上〕、高血圧進行のリスクが有意に上昇したとJAMA Netw Open2023; 6: e2247868)に発表した。カフェイン代謝が速い遺伝子型の患者では、同様のリスク上昇は見られなかった。

カフェイン代謝速度に関連する一塩基多型別に検討

 摂取したカフェインの95%超はCYP1A2によって代謝され、CYP1A2の遺伝子多型が代謝速度に関連することが知られている。CYP1A2の一塩基多型rs762551のアレルがAC型およびCC型の保有者はカフェインの代謝が遅く、AA型の者は代謝が速いとされている。しかし、これまでCYP1A2に着目して、コーヒー摂取と腎疾患リスクとの関連を解析した研究は少なかった。

 そこでMahdavi氏らは、rs762551のアレル別にコーヒー(1杯当たりカフェイン約100mgを含むエスプレッソ)の摂取と各種の腎機能障害マーカーとの関連を検討した。解析対象は、HARVEST研究に参加した18~45歳で未治療のステージ1高血圧患者のうち、生化学的データ、生活習慣、ゲノタイプに関する情報が得られた604例(平均年齢33.3歳、男性72.5%、平均BMI 25.4、追跡期間の中央値7.5年)。

 コーヒー摂取量の内訳は、1日1杯未満の少量群が158例(26.2%)、1~3杯の中等量群が379例(62.7%)、3杯超の大量群が67例(11.1%)だった。3群間にrs762551のアレル保有割合に差はなかった(AA型43.1%、AC型40.8%、CC型16.1%)。

代謝が遅いAC/CC型のみ1日3杯超でリスク3倍近く

 Cox回帰モデルによる解析の結果、全体およびカフェイン代謝が速いAA型を保有者では、アルブミン尿、過剰濾過、高血圧のリスクとコーヒー摂取量との関連が認められなかった。

 一方、カフェイン代謝が遅いAC型およびCC型の保有者では、コーヒーの少量摂取群に対し大量摂取群でアルブミン尿(調整後ハザード比2.74、95%CI 1.63~4.62、P<0.001)、過剰濾過(同2.11、1.17~3.80、P=0.01)、高血圧の進行(同2.81、1.51~5.23、P=0.001)のリスクが有意に上昇した。

 Kaplan-Meier曲線解析では、カフェイン代謝が遅いAC/CC型保有者がコーヒーを大量摂取すると、少量摂取の場合と比べてアルブミン尿が2.8年、過剰濾過が4.9年、高血圧が1.5年、それぞれ発症が早まることが示された。

 これらの結果について、Mahdavi氏らは「カフェイン代謝酵素の遺伝子型に基づく個人の体質や健康状態に合わせた食事を提案するプレシジョンニュートリション(個別化栄養)などの介入により、腎疾患の発症リスクを抑制する上で重要な意味を持つ」と結論している。

(太田敦子)

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