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- 取材協力者
- 学び舎東京plus
- パーソナルトレーナー/マネージャー
竹村 亨太 氏
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- インタビュアー
- 医学部予備校ガイド
- 担当
松田 翔
「課題発見→学習メニューのコーディネート→課題解決」が基本
松田:最初に学習スタイルの特徴から教えてください。
竹村:学び舎東京plusでは、パーソナルトレーナーと呼ばれる担当者が生徒一人ずつの学習状況を毎日把握し、最も早く学力を上げられる学習方法を日々デザインしています。授業は全て個別指導の形式で行い、講師が細かく課題を把握していきます。そこで出た課題をパーソナルトレーナーの元に集めるのです。さらに自習時間やトレーニングアワー、デイリーテストなど、授業だけでは把握できない情報もキャッチし、毎日の学習メニューをデザインするという流れです。
松田:生徒の一日のモデルスケジュールなど、具体的な過ごし方を教えていただけますでしょうか?
竹村:生徒の一日は基礎的な力を問うテストから始まります。数学であれば単純な計算問題に、英語であれば単語や文法に取り組んでもらうのです。その後は授業や自習に加えて、『トレーニングアワー』という時間をとっています。
パーソナルトレーナーは学習効率を最大化する役割
松田:トレーニングアワーでは何を行うのでしょうか?
竹村:トレーニングアワーは、勉強における「基礎技術」を鍛えるための時間です。数学の計算を素早く正確に解いたり、英語長文のリーディングスピードを向上させたりすることを目的としたトレーニングを毎日行っています。これをトレーナーがチェックして、定着度に応じて翌日のトレーニングの内容を調整していくのです。
松田:教科によってトレーナーは違うのでしょうか?
竹村:いえ、トレーナーは一人です。むしろ、一人のトレーナーが全教科を横断的にチェックすることが肝要なのです。大学受験は時間が限られたものです。だからこそ、全教科の状況を一人のトレーナーに集約することで、勉強時間の配分や学習メニューを最適化することを重視しているのです。トレーナーが生徒の学習についての全ての時間をコーディネートしています。
松田:それがパーソナルトレーナーの主な役割になるのでしょうか?
竹村:そうですね。パーソナルトレーナーの役割は、学習効率を最大化させることです。医学部受験生は、学習「量」をこなすことは前提。そんなことはすべての受験生が行っていることですよね。だとしたら、勝負の分かれ目は学習の「質」なのです。だからこそ、学習の効果を高めるための存在が有効です。スポーツ選手につくトレーナーと同じように、生徒の状態を日々チェックして、それに基づいて毎日メニューを調整していきます。
学習効率をあげるために、授業内で出てきた課題を教科ごとの担当講師からヒアリングしたり、日々行なっているテストの結果を分析したり、生徒本人との面談も2日に1回くらいの頻度で実施することで直接状態のチェックを行なっています。
松田:なるほど。確かに受験科目は多岐にわたるので、全教科を横断的に見て、学習効率を最適化することはとても大事にですよね。そこが単純な個別指導とは違うところなのですね。
竹村:メニューをコーディネートするときに、そのメニューを通してなにを身につけるのか、なにを克服するのかという点を、明示的に伝えます。目的を伝えないと学習への取り組みが惰性的になってしまい、メニューをこなすだけになってしまうことがあるのです。例えば、「問題1〜5を解こう」というのではなく、たとえば「それを通して平均値の定理の活用例を覚えよう」といったように出来るだけ具体的に目的を伝えるようにしています。
松田:目的が分かっているとそこを意識することになり、学習効率が上がりそうですね。
竹村:また、トレーナー自身も講師として授業を担当するようにしています。やはり生徒を直接見ることによって、生徒の認知力や性格、特徴をより把握しやすくなるので、自習時間のメニューなども生徒に合わせてコーディネートしやすくなります。それができるくらい専門性を持った人がトレーナーをしています。トレーナーごとに英語、数学、理科などそれぞれの専門が違うので、トレーナー同士で常に情報を共有し、アドバイスをし合うなどチームとして動いています。
生徒のレベルに合わせたトレーニングメニューを設計
松田:そこまで考えて仕組みを整えているのですね。入塾時の生徒のレベルは、どの程度の方が多いのでしょうか?
竹村:生徒の幅は本当に広いものです。例えば、偏差値が40もなくて基礎から教える必要のある生徒もいれば、偏差値が60以上あって東大理IIIや京大医学部、横浜市立大学の医学部、千葉大学の医学部あたりを志望校にしている生徒もいます。もちろん彼らは、ある程度偏差値も高いのですが、既に自分の力でやれることはやっていますから、「これ以上どう勉強したら学力が伸びるのか分からない」という悩みを抱えているのです。
松田:それでは、成績の上位層と下位層でアプローチの仕方は違うのでしょうか?
竹村:アプローチの仕方は本質的には同じです。成績を伸ばすということは実はシンプルで、課題を発見してそれを解決していくということです。それはどのレベルの生徒でも変わりません。
ただ、上位層と下位層では課題の中身が大きく異なります。上位の生徒は、勉強習慣と基礎知識が身についているので、知識面や技術面の課題を見つけ、それに沿った正しいメニューを組んであげることで、成績は自ずと上がっていきます。そのため、いかに細かく課題を把握し、質の高いメニューを組めるかが重要です。例えば数学の授業では、講師からのレクチャーよりも、生徒自身が問題を解くに当たって何をどう考えて、どういう手順で答えを導き出したのかを本人から説明してもらいます。そうすることで、本人が自覚できていない穴を講師が発見して修正するのです。
一方で下位層の生徒に関しては、そもそも基礎知識が身についていないことが多いので、いきなり問題を解かせても何もできないということが少なくありません。ですから、授業ではまずレクチャーから始まり、それを元に少し考えさせてみて、どういう失敗をするかをチェックしていきます。これを授業の中でやっていかないと、知識をインプットするのが苦手なのか、それともインプットした知識を運用するのが苦手なのかなど、原因の所在を詳細に把握できないのです。
ただ単に知識の穴を見つけてメニューを組むだけでは駄目なのです。どういう方法で、どういうペースでその問題を解いたのかなどキャッチすべき情報はたくさんあります。面談のときにタスクの進捗具合や課題の解決状況を細かくチェックしますし、自習時間に様子を見にいくこともあります。下位層の場合は、生徒の発言よりも、生徒本人が気づかないような「事実」を見ることが大事なのです。
松田:なるほど。こんなにも徹底して行っていることに驚きました。授業中に演習問題を解くことはないのでしょうか?
竹村:成績上位者の場合にはあまりありませんね。ただ、下位層では問題を解くこともあります。穴が多いので、直接チェックしないと思わぬところでつまずいているケースもあるためです。それから、より細かに課題を発見するために、予習のタイミングで思考を可視化する取り組みも行っています。例えば数学で言うと、ノートの右側に「問題を解く上で何を試して、どう言う手順で計算をしたのか」などを書いてもらうようにしています。そうすることで、たとえ正解した問題でも、考え方が誤っているという場合に、それをあぶり出すことができます。そうすることで、解き終わった結果だけを見るよりもはるかに多くの課題をキャッチできるのです。また、可視化することで自分がどう考えているのかを自覚できるようになるので、課題を自分で発見できるようになっていくことも多いのです。
松田:英語についてはいかがでしょうか?
竹村:英語に関して、わたしたちは創業当社から『第二言語習得研究』という学問をベースにした指導を行っています。
松田:第二言語習得研究とは、どのような学問なのでしょう。
竹村:人が母語以外の言語(第二言語、いわゆる外国語)をどのようなプロセスやメカニズムで身に付けていくのかということを研究する学問で、1960年代ごろから研究が始まりました。いわば言語習得の科学とも言えるもので、私たちの創業メンバーには、この学問を大学院で専門的に学んでいたものがいます。また、弊社の別事業で社会人を対象とした英語のジム「ENGLISH COMPANY」を運営しているのですが、そこでも第二言語習得研究ベースのメソッドで指導を行うことで、わずか90日でTOEIC®のスコアが400点あがるなどの実績がでています。
松田:受験英語にも効果があるものなのでしょうか?
竹村:そうですね。英語の偏差値40からスタートした生徒が京都大学に合格したり、英語の偏差値が100を超えた事例もあります。
松田:それはすばらしい効果ですね。なぜそのような学問を指導に取り入れようと思われたのですか?
竹村:言語習得についての研究が進み、効率的な学び方が明らかになっているのに、それを使わないというほうがむしろ不自然だと思うのです。あたりまえのことをあたりまえにやっているだけ、という感覚ですね。
偏差値30台からのスタートで合格した生徒も
松田:ここまでのお話を聞いて、講師に求められるレベルも相当高いのではないかと感じました。
竹村:学び舎東京plusでは、生徒自身が認識できていない課題まで把握することに重きを置いているので、生徒のアウトプットから多くの情報をキャッチする力が求められます。高い能力と専門性がないと実現できないことですので、講師のレベルはもちろん問われます。
松田:だから生徒の人数も絞る必要があるのですね。昨年は、どのくらいの合格実績が出たのでしょうか?
竹村:昨年度は、横浜市立大学や筑波大学の医学部、日本医科大学や昭和大学、国際医療福祉大学や杏林大学では特待生として合格した生徒もいます
センター試験の点数が3割くらい(偏差値30台)からスタートして合格した生徒もいますし、前年に1つも1次試験に合格できなかった生徒が10校も合格した実績もあります。
松田:それでは、最後に受験生の保護者へメッセージをお願いします。
竹村:学力を上げる方法はシンプルです。正しいやり方で、継続して学習に取り組めば、必ず学力は上がります。まずは、自分の学力がどのレベルにあって、どういう課題があるのかを把握すること。その課題を一つずつ着実にクリアしていくことです。そのプロセスの生産性をどれだけ高められるかで勝負は決まります。その答えの一つが、学び舎東京plusにはあると思っています。専属のトレーナーをつけて、生徒に合わせて最も効率的な学習方法をコーディネートすること。あとは、生徒がどれだけ本気になって取り組めるか。この部分に関しては、保護者の方にもご協力いただきながら、二人三脚で合格を目指せる体制を共に作っていければと思っています。
松田:本日は貴重なお話をありがとうございました。