JDDW 2024:肝臓学の新たな潮流を感じてほしい

第28回日本肝臓学会大会 会長
東京大学医科学研究所 先端医療研究センター感染症 教授

四柳 宏 氏

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 肝臓学、肝臓病学領域における最近の重要なトピックとしてはMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)が挙げられ、名称の変更だけでなく、疾患の定義や概念などを捉え直す動きが見られます。また、肝がんやウイルス性肝炎の治療においても新薬が登場するなど、臨床に変化が起きることが予想されます。このような状況を踏まえ、今回のテーマは「肝臓学の新しい潮流」としました。

 JDDWは5学会が一堂に会する貴重な機会です。幅広いテーマのセッションが用意されていますので、興味の赴くままに聴講するのも1つのスタイルですし、各学会で重なるテーマに関して深く掘り下げて学ぶのもよいかもしれません。

 今回、Strategic International Sessionでは米国肝臓学会(AASLD)とのジョイントシンポジウム「脂肪性肝疾患の新たな展開―NAFLDからMASLDへ」を企画しています。日米各3人の先生をお招きし、それぞれの立場からMASLDの疫学、病態、診断、治療などについて議論を深めます。

 統合プログラム2の「肝胆膵癌の集学的治療」では、外科、内科、放射線科から肝胆膵がんの第一人者の先生方が登壇します。最新の知見が横断的に議論されるとともに、現在および未来の集学的治療の方向性が示されると思われます。

 招待講演ではフランス・国立衛生医学研究所(INSERM)/ストラスブール大学のThomas F. Baumert先生に肝臓がんや肝臓の線維化に関する最先端の研究をご紹介いただきます。Journal of Hepatolgy のアソシエイツエディターも務められている先生なので、非常に興味深い話が聞けるものと期待しています。また、バーミンガム大学のPhilip Newsome先生の招待講演も注目です。講演内容は今のところ未定ですが、最近The New England Journal of Medicine にセマグルチドをMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)患者に投与した第Ⅲ相臨床試験の結果を発表されましたので、関心のある方は多いと思います。

 特別企画では、「ALT>30」(ALT値30U/L超)でかかりつけ医への受診を勧奨するとした「奈良宣言」を発表してから1年がたつ中で、受診勧奨がどのような影響を及ぼしたのかを検証し、今後の展望について議論します。また、シンポジウム2では肝臓がんについて、分子標的薬をはじめ薬物治療の最前線に迫る話をしていただきます。

 JDDW2024では、一人でも多くの方に現地参加をしていただき、旧交を温める機会や新たな出会いを楽しむ場としてもらいたいと思います。また、会期中に聴講できなかったセッションについては、後日ゆっくりとオンデマンド配信で視聴していただくのも新しい学びの形です。こうしたハイブリッド開催の利点をぜひご活用ください。

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