精度向上を目指した大腸がん検診の取り組み~組織型検診の実現を見据えて~ 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ワークショップ3(日本消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会) 10月31日(木) 15:00 - 17:00 第7会場(ポートピアホテル南館 大輪田C) [司会] 吉川 裕之 氏 聖隷健康診断センター 小林 望 氏 国立がん研究センター中央病院・検診センター [演者] 松田 一夫 氏 福井県健康管理協会・県民健康センター 萩原 廣明 氏 前橋市医師会,萩原内科医院 浅野 道雄 氏 あさのクリニック 山口 和也 氏 ちば県民保健予防財団・総合健診センター消化器内科 鈴木 雄飛 氏 聖隷健康診断センター 河村 卓二 氏 京都第二赤十字病院・消化器内科 関口 正宇 氏 国立がん研究センター中央病院・内視鏡科 1992年に開始された便潜血検査による対策型大腸がん検診は、一定の成果を挙げているものの近年の年齢調整大腸がん罹患率は横ばいで、死亡率もわずかな低下傾向にとどまる。厚生労働省が昨年(2023年)発表した第4期がん対策推進基本計画では、統一されたプログラムに基づき適格な対象集団を特定して個別に検診を勧奨する「組織型検診」の実現を目指すと明記された。これに対し、司会の小林望氏は「指針に基づいたエビデンスのある検診をどう構築するか、検診対象者とその結果をいかに管理するか。検診の精度管理につながるサイクルの構築が必須であり、実現の途上には課題が山積している」と指摘する(図)。 図. 日本の大腸がん検診の現状 (小林望氏提供) 検診の在り方、今こそ議論すべき 本セッションは、住民検診、職域検診、人間ドックに関わるそれぞれの立場から対象者の特性や検診・精検受診率および精度の向上について議論し、導入が求められている組織型検診の在り方を探究する。基調講演では松田一夫氏が、日本、英国、米国における大腸がん検診の実態および北欧・NordICC studyの成果について解説する。検診の在り方を議論することで、日本が目指すべき方向性を考える上でのさまざまな手がかりが得られるだろう。 日本の課題を浮き彫りにする6演題 2020年度日本消化器がん検診学会全国集計における精検受診率は、地域検診では約7割に上ったのに対し、職域検診は4割ほどと低い。その原因を探り、理解を深める機会となるのが、精検未受診者再勧奨事業の効果について検討した萩原廣明氏、千葉県における地域検診と職域検診の精密検査受診率を比較した山口和也氏の発表だ。「大腸がん検診の効果改善には精検受診率の底上げが不可欠であり、充実した組織型検診の実現を図る上で重要な議題である」と小林氏は述べる。 精度管理による検診の質の向上には多施設が足並みをそろえることが重要で、一貫した手法が求められる。この点について小林氏が「他の自治体の参考となる事例が示されるだろう」と期待を寄せるのが、便潜血検査標準化を中心とした浜松市医師会の取り組みに関する浅野道雄氏の報告、聖隷健康診断センターが実施したナッジ理論に基づく受診勧奨と適切な情報提供に関する鈴木雄飛氏の報告だ。 組織型検診の在り方を問うに当たり、大規模研究に基づくエビデンスは欠かせない。国内多施設観察研究J-SCOUTから抽出した大腸内視鏡施行歴がある便潜血免疫法陽性者1万例超を対象に大腸がんリスクを検討した河村卓二氏の発表、2万4,943人を対象とするスウェーデンのSCREESCO試験データを用いて大腸内視鏡検査の質を検討した関口正宇氏の発表について、小林氏は「今後の大腸がん検診の効率的な運用、および組織型検診実現の重要な鍵となる」としている。 大腸がん死亡率の低下を目指す 以上のように、より良い日本の大腸がん検診を考える上で、啓発的な知見に富んだプログラムとなっている。小林氏は「日本の大腸がん検診は抜本的な改革が必要な時期にきている。組織型検診導入への道は多難かもしれないが、成功の暁には大腸がん死亡率の低下が期待される。本セッションは、多くの医療者とともに大腸がん検診の未来を考える機会としたい」と述べ、広く聴講を呼びかけている。 ※本記事の内容は取材時点での情報です。当日に変更となる場合があります。 MTウェブJDDW2024 TOP JDDW2024公式サイト 第67回日本消化器病学会大会 [会長]上野 義之 山形大学 内科学第二(消化器内科学) 第110回日本消化器内視鏡学会総会 [会長]田中 聖人 京都第二赤十字病院 第29回日本肝臓学会大会 [会長]加藤 直也 千葉大学大学院 消化器内科学 第23回日本消化器外科学会大会 [会長]瀧口 修司 名古屋市立大学大学院 消化器外科学 第63回日本消化器がん検診学会大会 [会長]岡庭 信司 飯田市立病院 消化器内科 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×
ワークショップ3(日本消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会) 10月31日(木) 15:00 - 17:00 第7会場(ポートピアホテル南館 大輪田C) [司会] 吉川 裕之 氏 聖隷健康診断センター 小林 望 氏 国立がん研究センター中央病院・検診センター [演者] 松田 一夫 氏 福井県健康管理協会・県民健康センター 萩原 廣明 氏 前橋市医師会,萩原内科医院 浅野 道雄 氏 あさのクリニック 山口 和也 氏 ちば県民保健予防財団・総合健診センター消化器内科 鈴木 雄飛 氏 聖隷健康診断センター 河村 卓二 氏 京都第二赤十字病院・消化器内科 関口 正宇 氏 国立がん研究センター中央病院・内視鏡科 1992年に開始された便潜血検査による対策型大腸がん検診は、一定の成果を挙げているものの近年の年齢調整大腸がん罹患率は横ばいで、死亡率もわずかな低下傾向にとどまる。厚生労働省が昨年(2023年)発表した第4期がん対策推進基本計画では、統一されたプログラムに基づき適格な対象集団を特定して個別に検診を勧奨する「組織型検診」の実現を目指すと明記された。これに対し、司会の小林望氏は「指針に基づいたエビデンスのある検診をどう構築するか、検診対象者とその結果をいかに管理するか。検診の精度管理につながるサイクルの構築が必須であり、実現の途上には課題が山積している」と指摘する(図)。 図. 日本の大腸がん検診の現状 (小林望氏提供) 検診の在り方、今こそ議論すべき 本セッションは、住民検診、職域検診、人間ドックに関わるそれぞれの立場から対象者の特性や検診・精検受診率および精度の向上について議論し、導入が求められている組織型検診の在り方を探究する。基調講演では松田一夫氏が、日本、英国、米国における大腸がん検診の実態および北欧・NordICC studyの成果について解説する。検診の在り方を議論することで、日本が目指すべき方向性を考える上でのさまざまな手がかりが得られるだろう。 日本の課題を浮き彫りにする6演題 2020年度日本消化器がん検診学会全国集計における精検受診率は、地域検診では約7割に上ったのに対し、職域検診は4割ほどと低い。その原因を探り、理解を深める機会となるのが、精検未受診者再勧奨事業の効果について検討した萩原廣明氏、千葉県における地域検診と職域検診の精密検査受診率を比較した山口和也氏の発表だ。「大腸がん検診の効果改善には精検受診率の底上げが不可欠であり、充実した組織型検診の実現を図る上で重要な議題である」と小林氏は述べる。 精度管理による検診の質の向上には多施設が足並みをそろえることが重要で、一貫した手法が求められる。この点について小林氏が「他の自治体の参考となる事例が示されるだろう」と期待を寄せるのが、便潜血検査標準化を中心とした浜松市医師会の取り組みに関する浅野道雄氏の報告、聖隷健康診断センターが実施したナッジ理論に基づく受診勧奨と適切な情報提供に関する鈴木雄飛氏の報告だ。 組織型検診の在り方を問うに当たり、大規模研究に基づくエビデンスは欠かせない。国内多施設観察研究J-SCOUTから抽出した大腸内視鏡施行歴がある便潜血免疫法陽性者1万例超を対象に大腸がんリスクを検討した河村卓二氏の発表、2万4,943人を対象とするスウェーデンのSCREESCO試験データを用いて大腸内視鏡検査の質を検討した関口正宇氏の発表について、小林氏は「今後の大腸がん検診の効率的な運用、および組織型検診実現の重要な鍵となる」としている。 大腸がん死亡率の低下を目指す 以上のように、より良い日本の大腸がん検診を考える上で、啓発的な知見に富んだプログラムとなっている。小林氏は「日本の大腸がん検診は抜本的な改革が必要な時期にきている。組織型検診導入への道は多難かもしれないが、成功の暁には大腸がん死亡率の低下が期待される。本セッションは、多くの医療者とともに大腸がん検診の未来を考える機会としたい」と述べ、広く聴講を呼びかけている。 ※本記事の内容は取材時点での情報です。当日に変更となる場合があります。 MTウェブJDDW2024 TOP JDDW2024公式サイト 第67回日本消化器病学会大会 [会長]上野 義之 山形大学 内科学第二(消化器内科学) 第110回日本消化器内視鏡学会総会 [会長]田中 聖人 京都第二赤十字病院 第29回日本肝臓学会大会 [会長]加藤 直也 千葉大学大学院 消化器内科学 第23回日本消化器外科学会大会 [会長]瀧口 修司 名古屋市立大学大学院 消化器外科学 第63回日本消化器がん検診学会大会 [会長]岡庭 信司 飯田市立病院 消化器内科