EGFR-TKI+αの治療戦略:NEJ009試験追加解析

EGFR陽性肺がんへのGCP療法、PFS2が大幅に改善

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宮内 英作 氏 田中 希宇人 氏
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〔編集部から〕複数のがん専門医の視点による解釈をご紹介する本企画。第9回は、J Clin Oncol誌に掲載された、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する一次治療において、標準治療薬の1つであるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)ゲフィチニブに化学療法を併用する効果を検討した国内第Ⅲ相ランダム化比較試験NEJ009のアップデート解析の結果に関する論文について、田中希宇人氏と論文の筆頭著者で東北大学病院呼吸器内科病院講師の宮内栄作氏に解説いただきました。ぜひご一読ください。

【論文名】Updated Analysis of NEJ009: Gefitinib-Alone Versus Gefitinib Plus Chemotherapy for Non-Small-Cell Lung Cancer With Mutated EGFR

【出典】J Clin Oncol 2022年8月12日オンライン版

 日本で実施された第Ⅲ相多施設共同非盲検ランダム化比較試験NEJ009では、EGFR遺伝子変異陽性の未治療NSCLCを対象に、ゲフィチニブ+化学療法併用療法(GCP群)の有効性がゲフィチニブ単独療法(G単独群)を対照に比較検証された。主要評価項目は当初は全生存(OS)のみとされていたが、試験開始後に第三世代EGFR-TKIであるオシメルチニブや免疫チェックポイント阻害薬が登場したことから、後治療による影響を考慮し2016年2月にプロトコルを変更。主要評価項目は無増悪生存(PFS)1、PFS2、OSの3つが再設定され、PFS1→PFS2→OSの順に統計学的有意差がみられた際に階層的に検証していくゲートキーピング法により評価された。

 2018年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)では、G単独群に比べてGCP群ではOSが有意に延長し、OS中央値は52.2カ月と極めて優れた成績が示され、大いに注目された(関連記事「EGFR陽性肺がん、化学療法併用で『深い奏効』」)。今回のアップデート解析の概要は、昨年(2021年)のASCO 2021で報告された。

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