市中肺炎:NEJM総説 付けたり:米欧回覧実記、ネパールの若い官僚、喀痰G染・培養・血培は必要?アニメ好きのスイス人学生 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする N Engl J Med( 2023 Aug 17; 389: 632-641) に市中肺炎の総説があり非常に興味深く読みました。過去3年のCOVID-19パンデミックにもかかわらず、人類はしたたかに学習し市中肺炎への対処法も随分進化したのだなあと感動しました。どんな危機に陥っても人類はそこから学習し力強く立ち上がるのです。 いまやCOVID-19も当たり前の肺炎となりました。市中肺炎治療では最初にウイルス疾患の除外が必要になりprocalcitoninの重要性が増しました。そして病原体の同定も従来の細菌培養でなくmultiplex PCR(panel)といわれる遺伝子検査で一気に20くらいの細菌やウイルスを1時間内に確認できるようになりました。 140年も使われてきた病原体診断法としてのGram染色、細菌培養の影が薄くなってきたのです。Multiplex PCRは既に国内でも大病院では採用されつつあり、あと2、3年で一気に導入されていくでしょう。ただし抗菌薬感受性はこれでは分かりませんから細菌培養は引き続き必要です。 CURB-65やPSIで外来治療と判断したら細菌同定はおおかた不要で経験治療できます。しかし、ひとたび入院となった場合は、細菌同定が必要で、2つのことを必ず確認します。1つは緑膿菌とMRSA(メチシリン黄色耐性ブドウ球菌)の可能性があるかです。これは「過去3カ月内の入院歴か、抗菌薬静注歴があるとき」です。もう1つ考慮するのは「重症肺炎の定義」に入るか否かの確認です。重症なら緑膿菌、MRSAをカバーします。 N Engl J Med( 2023 Aug 17; 389: 632-641)市中肺炎(Clinical Practice)総説最重要点は以下の11点です。 時間のない方はこのまとめの怒涛の反復をお願いします。興味のある章だけ読めば十分と思います。 まずウイルス否定。細菌性疑いはWBC>15,000、CRP>15、procalcitonin>0.25(N<0.05) Multiplex PCRで20くらいの細菌、ウイルスを1時間内に同定可能だが高価 入院時、緑膿菌とMRSAリスク確認!即ち3カ月内感染・入院歴、抗菌薬非経口投与歴 重症市中肺炎定義。重症なら緑膿菌とMRSAをカバーすること 重症度と治療場所はCURB-65(Confusion、Urea、RR、BP、Age≧65)かPSIで決定(関連リンク3「Pneumonia Severity Index」) 健康、<65歳で細菌確認不要、経口サワシリン、ビブラマイシン、ジスロマック(耐性↑で不可)のどれか 外来治療で合併症ある患者、過去3カ月抗菌薬歴時はオーグメンチン+ジスロマック/ビブラマイシン 入院患者は緑膿菌/MRSAリスク確認、なければβラクタム薬+マクロライド系。あればそのカバーを 誤嚥性肺炎で嫌気性菌カバーは肺膿瘍、膿胸でなければルーチン投与不要 普通2~3日で改善。解熱、2~3日安定で中止。鼻腔でMRSA(-)なら抗MRSA中止 症例:66歳肺炎、CURB-65 2点で一般病棟、RSV(+)だが、PCT 5.4で細菌肺炎疑い なおLancetでもSep.4, 2021に市中肺炎のセミナーがありました(関連リンク1)。併せてお読みください。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×