ワクチンがターゲット以外の病原体に対して予防効果を示すことを"オフターゲット効果"と言い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対してもBCGワクチンをはじめとした複数の既存ワクチンにおいて、予防効果の有無に関する議論が続いているところである。さらに最近、これに類する効果として、感染症の予防を目的とするはずのワクチンが感染症以外の疾患の発症を抑制する、という報告が散見されるようになった。本稿では、その疾患の1つである認知症の発症に対する抑制効果について解説する。