侮るなかれ! コロナ肺炎の後遺症

3年後も3分の1に病変残存

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:肺炎の頻度が高かったCOVID-19

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のアルファ株やデルタ株が流行した2021年は、肺炎の頻度が特に高かった。私もそうだったが、現場では悲鳴が上がっていた。ウイルス性肺炎で次々に患者が運ばれる中、東京オリンピックを開催していたのだから、なんとも言えない気持ちだった。

 オミクロン株以降になって、肺炎の頻度は急減した。ワクチンの効果かもしれないし、ウイルス自体が弱毒化したからかもしれない。しかしそれでも、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のような陰影を呈して緊急入院になる患者は、いまだに散見される。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に限ったことではないが、肺炎の重症度が高いほど、その後に後遺症を残す。労作時呼吸困難、慢性咳嗽、倦怠感など、慢性呼吸器疾患に罹患したかのような症状が残存することもある。こういった患者のトラジェクトリーは、COVID-19の罹患後、一時的に肺機能は回復するものの、100%の回復には至らず、後遺症を残した人ではその後徐々に肺機能が低下していく可能性が懸念されている(EClinicalMedicine 2022; 54: 101668図1)。

図1. COVID-19罹患後の肺機能の変化

52622_fig01.jpg

EClinicalMedicine 2022; 54: 101668)

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする