思春期の抑うつ、対応は小児科?精神科?

重症度や寛解率を比較

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研究の背景:成人のうつ病はプライマリケアが精神科の代替に

 思春期の子どものうち20%程度が「抑うつ」を経験するとされる。これは自殺行動にもつながる重要な公衆衛生学的な問題だが、思春期はそもそも精神科へのアクセスに消極的という課題がある。そのためプライマリケア環境で「抑うつ」の評価と治療を行い、必要に応じて精神科の助けを受けることが推奨されている。

 成人では、抑うつを主訴に受診する患者の重症度はプライマリケアと精神科で同程度であり、同一のケアを提供した場合、寛解率に差がないことが報告されている(STAR*D研究)。これはプライマリケアが専門的治療の良い代替になりうることを示唆するが、思春期の抑うつに対し小児科が同様の役割を果たせるかは明らかでない。そこで今回、小児科と精神科で思春期のうつ病治療を比較した米国の研究を紹介したい(J Child Adolesc Psychopharmacol 2024; 34: 80-88)。

呉 宗憲(ご そうけん)

東京医科大学小児科・思春期科学分野講師。台湾で出生。2004年、東京医科大学医学部卒業。初期臨床研修を経て、同大小児科・思春期科学分野へ入局。以降は関連病院で研鑽を積みつつ、東京都立小児総合医療センター心療内科/児童思春期精神科への出向を経て現職に至る。日本小児科学会(専門医・指導医・代議員)、日本小児心身医学会(認定医・理事・次世代育成検討室長・研究委員長・各種ガイドライン作成委員など)、日本頭痛学会(専門医・ガイドライン作成委員)、日本小児感染症学会(認定医)、日本小児神経学会、日本睡眠学会、日本小児精神神経学会などに所属。子どものこころ専門医として、子どもの心とからだ(ここ×から)外来を担当している。趣味はラーメン。

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