境界型介入のlegacy effectは否定されたのか 「DPP 21年のフォローで死亡率に差なし」の山田流解釈 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景1:生活習慣介入やメトホルミンは2.8年で糖尿病発症を予防したが... 以前、6年間の生活習慣介入による境界型耐糖能障害患者に対する糖尿病発症予防効果が、総計20年たってもなお残存していることをご紹介させていただいた(関連記事「6年間の生活習慣介入による糖尿病発症予防効果が20年後も持続?!」、Diabetes Care 1997; 20: 537-544, Lancet 2008; 371: 1783)。 この研究は中国の大慶市で実施されたDa Qing Diabetes Prevention Studyであったが、同様に米国において境界型耐糖能障害患者に対する糖尿病発症予防のために行われた研究がDiabetes Prevention Program(DPP)である。 DPPの主要な結果は2001年の欧州糖尿病学会(EASD)で発表され(論文としてはN Engl J Med 2002; 346: 393-403)、平均2.8年間のフォローアップ期間において、糖尿病の発症は対照群(11.0人/100人・年)に比べ、生活習慣介入群(4.8人/100人・年)やメトホルミン群(7.8人/100人・年)において有意に抑制されていた。 この結果が発表されたとき、EASDの会場は万雷の拍手であったという。DPPはその後、死亡率の差異にまで影響を及ぼすかどうかを見るための研究Diabetes Prevention Program Outcome Study(DPPOS)によって継続された。 このたび、その結果が米国糖尿病学会の機関誌Diabetes Careに報告され(Diabetes Care 2021; 44: 2775-2782)、残念ながら、生活習慣介入群にせよ、メトホルミン群にせよ、中央値21年のフォローアップ期間において、対照群との間に死亡率の差異を示すことはなかった。そして、それはがん死、心血管死のいずれにおいても同様であった。 生活習慣介入にせよ、メトホルミンにせよ、早期血糖治療介入のlegacy effect(N Engl J Med 2008; 359: 1577-1589)を信じる私にとっては衝撃的な結果であった。十分な解釈はできていないかもしれないが、情報として共有いただきたい。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×