肥満を是正するとうつ病は改善するか?

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研究の背景:双方向的に関連する肥満とうつ病

 持続性GLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬セマグルチド(商品名ウゴービ)が肥満症を適応症として承認・販売されたことで、肥満症治療への関心が高まっている。

 肥満がさまざまな内科疾患の危険因子となることは周知の事実であるが、うつ病の危険因子でもあるともいわれている。

 これまで、肥満とうつ病の関係についてはさまざまな報告があり、肥満はうつ病や不安症のリスクを高め、そのメカニズムとして、肥満に付きまとうスティグマが自尊心やボディイメージに影響することで、うつ病や不安症の発症に寄与する可能性も指摘されている。また、肥満とうつ病の関係には、基礎疾患、性別、年齢、人種など、さまざまな要因も影響を及ぼす可能性がある。

 しかし、その関係は複雑であり、因果関係については不明な点が多く、互いに他方の増悪に寄与するという形で、双方向的に関連している可能性が考えられる。

 今回取り上げる研究は、肥満の人において、低カロリー食(LCD)が抑うつ症状を改善するかどうかを検討した多くの論文のシステマチックレビューとメタ解析である(Neurosci Biobehav Rev 2022: 142: 104857)。

加藤 忠史(かとう ただふみ) 

 順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。

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