ダウン症児が20年前に比べ31%増加―米国
2011年09月02日 17:13
米疾病管理センター(CDC)のMikyong Shin氏らは、米国の10州を対象とした先天性欠損症登録による調査から、1979~2003年にかけてダウン症の子供が31.1%増加していたことを、米医学誌「Pediatrics」(2009; 124: 1565-71)に報告した。
ヒスパニック系、男児で高い有病率
10州の先天性欠損症登録システムにおける0~19歳を対象とした調査によると、1979~2003年にかけてダウン症を持って出生した1万人当たりの子供の数は、9人から12人と31.1%増加していた。また、母親の年齢が高い場合のダウン症児の出生数は、若い場合の5倍だった。
2002年は、対象州における0~19歳のダウン症児の数は1,000人に1人。CDCによると、これは年間8万3,000人のダウン症児がいることになるという。
また、同年時点の同じ年齢層におけるダウン症の有病率が最も低かったのは非ヒスパニック系の黒人で7.3%。最も高かったのはヒスパニック系で12.3%、次いで非ヒスパニック系白人の10.2%となった。
男女別では男児が10.8%と、女児の9.7%よりダウン症有病率が高かったほか、主要な先天性心疾患の合併がある子供の割合は4.7%、ない子供の割合は5.6%だった。
英・米では妊婦のおよそ6割、日本では1%が血清マーカーによるダウン症スクリーニングを受けているともいわれる。米国産婦人科学会は2007年、それまで35歳以上としていた妊娠期間中のダウン症スクリーニングの年齢制限を撤廃し、すべての妊婦が妊娠20週を迎えるまでにスクリーニングを受けるよう勧告を出した。
また、2004年から政府が全国的にスクリーニングを実施しているデンマークでは、開始翌年からダウン症児の出生数が半減した。スクリーニングの倫理的問題、目的をどこに置くべきかなど、問題は山積している。
(MT Pro 2010年1月5日 掲載)