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毎日の歯磨きで口腔ケアは十分といえるのでしょうか?

 2011年09月07日 12:01

 毎日歯を磨くことしかケアはしていないのですが、それで十分でしょうか?

(20代男性)

「口腔機能を守るためのケア」を行いましょう。

 口腔ケアとは、「口腔の疾病の予防、健康の保持・増進、リハビリテーションにより、生活の質(QOL: Quality of Life)の向上を目指した科学であり、技術である」と定義されています【1】。しかし、口腔ケアは幅広い意味を持つので、その捉え方が歯科医療専門職と医師や看護・介護職など職種によって異なる場合があります。その理由としては、保健・医療・福祉の共通言語である「ケア」という用語によって、どの分野にも抵抗なく受け入れられ、それぞれの現場のニーズに合わせて使い分けられたことが原因だと考えられます。しかし、口腔ケアの言葉としての定義が明確でないため、内容が曖昧なものになり理解も得られにくいということがありました。

 口腔ケアには、口腔を清潔に保つだけではなく、口腔を介して行われる「食べる」「話す」「呼吸する」「表情を作る」という日常生活にとって基本的な口腔機能を健全に守るという大切な役割があり、いわゆる「歯磨き」とは異なります。また、口腔ケアはQOLの向上のみならず誤嚥性肺炎などの全身疾患の予防、全身の健康状態の維持・向上にもつながります。このように口腔ケアという言葉にはさまざまな意味が含まれ、狭い意味では口腔衛生の改善のためのケアを指しますが,広い意味では口腔のもつ種々の働きを補い、口腔機能を回復するケアを意味します。口腔ケアは口腔衛生と同義語ではなく、高齢者・要介護者の口腔ケアでは咬合(こうごう)、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)、構音、審美性・顔貌の構成、唾液分泌機能等を健全に維持し口腔機能回復を図ることが目的となり、キュア(治療)まで含めなければならなくなってきました。

 口腔ケアの内容を明確に区別するために、口腔清掃を中心とするケアを「器質的口腔ケア」、口腔機能訓練を中心とするケアを「機能的口腔ケア」、また歯科医師、歯科衛生士などの歯科医療専門職が行う広義の口腔ケアを「専門的口腔ケア」と称して使い分けることもあります。

【文 献】
1)山中克己:口腔ケアの概念の広がり(これからの口腔ケア.鈴木俊夫ほか編).JJN スペシャル 2003; 73: 8--11.

指導・監修

角 保徳(すみ やすのり)

角 保徳(すみ やすのり)
国立長寿医療研究センター 歯科口腔先進医療開発センター 歯科口腔先端診療開発部部長

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