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新型インフル、マスク着用者で感染なし―米研究

 2011年12月05日 10:21

 2009年に世界的に大流行した新型インフルエンザ(A/H1N1 2009)は、日本を含め世界的に感染症への予防意識を高めた。米マサチューセッツ総合病院小児科のJenifer L. Jaeger氏らは、後に最初の感染者と特定された8人のうち6人に、世界保健機関(WHO)がパンデミック宣言をした同年6月12日以前に接触した医療者63人を対象に検討を行った結果、最初の感染者から感染したと考えられる9人全員がマスクもしくは防じんマスクを着用していなかったと、米医学誌「Infection Control and Hospital Epidemiology」(2011; 32: 1149-1157)に報告した。マスクを1回以上着用した20人では新型インフルエンザの感染者はいなかったという。

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マスク着用率低い外来で感染率2倍

 Jaeger氏を代表研究者とする米疾病対策センター(CDC)による今回の研究では、パンデミック宣言前の2009年3月28日~4月24日に、米・南カリフォルニア州にある病院・診療所3施設に勤務していた医療従事者のうち、最初の感染者と特定されたうちの6人と接触(1.8メートル以内)した63人(女性48人、平均年齢35歳)を対象に調査を行った。

 対象者の内訳は次の通り。勤務場所は病棟44人、外来19人、職種は臨床医療従事者24人(医師・正看護師・準医師6人、登録看護師・登録栄養士18人、保健スタッフ33人、サポートスタッフ6人)。最初の感染者との接触回数、肌と肌の接触回数、呼吸分泌物への曝露(ばくろ)、手袋、ガウン、マスク、N95防じんマスクなどの個人防護具の着用状況などのデータを収集し、新型インフルエンザ感染について血清サンプル検査を実施した。

 個人防護具を着用していたのは63人中46人だったが、勤務場所別では病棟40人(91%)、外来6人(32%)と、外来に比べ病棟では着用率が約3倍高かった。個人防護具の中でもマスクあるいは防じんマスクの着用に限定すると、全体の着用者は19人おり、着用率は病棟18人(41%)、外来1人(5%)と、こちらも病棟の方が高かった。

 一方、血清サンプル検査の結果、最初の感染者からの感染と認められる陽性者は63人中9人(症状あり3人、症状なし6人)で、勤務場所別では病棟3人、外来6人と、病棟に比べ外来が2倍だった。さらに、マスクあるいは防じんマスクを接触時に1回以上着用したと答えた20人では血清サンプル検査が全員陰性だったが、陽性の9人全員を含む43人が未着用と答えており、マスクあるいは防じんマスクの着用が新型インフルエンザ感染者との接触における予防と関連していることが分かった。

 今回の結果から、Jaeger氏らは「2009年の新型インフルエンザがパンデミックを迎える以前に、臨床現場での不適切な個人防護具着用が医療者の感染につながった可能性が示された」と結論。「医療者はインフルエンザウイルスなどの感染の可能性について自覚し、予防対策を実践すべき」と述べるとともに、組織的な取り組みの必要性も訴えた。

(編集部)

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