メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  呼吸が苦しくなるCOPD、35歳以上の生涯発症は4人に1人

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

呼吸が苦しくなるCOPD、35歳以上の生涯発症は4人に1人

 2011年12月19日 15:40

 最初は無症状なものの、次第に息切れを起こすようになる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。主に喫煙が原因のため"たばこ肺"とも呼ばれ、重症化すると日常生活が困難になる。カナダ臨床評価科学研究所のAndrea A. Gershon氏らは、35歳以上の成人では、生涯のうちに4人に1人がCOPDを発症する可能性があるとする研究結果を、英医学誌「Lancet」の欧州呼吸器学会号(2011; 378: 991-996)に発表した。

男性の方がリスク高い

 COPDは、2030年までに世界の主な死因の第3位になると予測されている。また、COPDは入院の主な原因で、最も医療費のかさむ慢性疾患だ。しかし、COPDに対する社会的認知度は低く、糖尿病などと比べて十分な資金の下に研究が行われておらず、同じように社会的負担を強いる病気という社会的理解が得られていない。

 Gershon氏らは、カナダ・オンタリオ州の全住民(約1,300万人)の医療管理データを用いて、生涯のうちに医師からCOPDの診断を受けるリスクを評価。1996年の時点でCOPDを発症していない35~80歳の成人男女を14年間にわたり追跡したところ、調査期間中に57万9,466人が医師によりCOPDと診断された。

 解析の結果、COPDの推定生涯リスクは全体で27.6%。女性で25.6%、男性で29.7%と、女性より男性の方がリスクが高いことが示された。また、社会経済的地位が低い人が高い人よりも、非都市部居住者が都市部居住者よりもそれぞれリスクが高かった。なお、COPDの生涯リスクはうっ血性心不全や急性心筋梗塞、一般的ながんよりも高かったという。

社会的認知の推進が課題

 Gershon氏らは「生涯のうちにCOPDを発症するリスクは、糖尿病やぜんそくの生涯リスクに匹敵する。COPDの生涯リスクは、うっ血性心不全の約2倍、急性心筋梗塞の3~4倍、女性では乳がん、男性では前立腺がんの3~4倍、そのほかのがんでは7倍以上高い」と指摘。「今回示された研究結果は、COPDの甚大な社会的負担に対する関心を高め、この疾患に立ち向かうための資源の必要性を市民に啓発するのに役立つだろう」と結論付けている。

 米ケンタッキー大学公衆衛生学部のDavid M. Mannino教授と米ミシガン大学保健システムのFernando J. Martinez教授は、同誌の付随論評(2011; 378: 964-965)で「最近まで、COPDに対する社会的認知度は極めて低く、資金提供機関からの支援も乏しかった。1症例当たりにかけられる費用の面で、他の慢性疾患や悪性疾患に比べて立ち遅れていることから、今回示された研究結果は極めて重要な意味を持つ」とコメントしている。

(編集部)

ワンクリックアンケート

円安水準を更新。円安で何を思う?

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  呼吸が苦しくなるCOPD、35歳以上の生涯発症は4人に1人