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子供の花粉症、進む低年齢化―花粉症特集(6)

 2012年01月23日 12:30

 子供の発症率は低いとされていた花粉症だが、用賀アレルギークリニック(東京都)の永倉俊和院長は「近年は2~3歳から発症するケースが見受けられます」と、低年齢化を指摘している。小児に特有の症状は特になく、成人のそれと変わらないという。ただし、治療法においては、ステロイド薬(セレスタミンシロップ)の長期服用などで成長抑制を来す場合もあり、注意すべき点もある。

特に症状を抑えたいときは減感作療法も

 子供に花粉症の症状が現れ始める年齢は、この20年間で徐々に低年齢化しているという。低年齢化の原因は不明だが、永倉院長は「スギ花粉の増加や大気汚染、体質がアレルギーに傾いている子供が増えていることなどが考えられます」と説明する。

 比較的幼い子供が発症することから遺伝的素因が疑われるが、その可能性について、同院長は「遺伝の典型例で説明すると、一卵性双生児でも両方がぜんそくである組み合わせは50~60%であることから考えて、遺伝はスギ花粉症に重要ではありますが、それだけでは決まりません。環境因子との絡み合いが重要です」と、遺伝と環境の相互作用を重視している。

 治療法は、薬物療法の場合、抗ヒスタミン薬による眠気が大人より少ないため、治療しやすいという。ただし、ステロイドの内服薬の場合は1カ月以上継続して服用すると、身長が伸びなくなるなどの重大な副作用が出る可能性があるため、注意が必要だ。なお、ステロイドでも点鼻薬だと体内に入るのは非常にわずかな量のため、副作用は通常、出ないとされている。

 また、受験生など、症状を確実に抑えて学業に専念したい場合は、眠気の少ない薬剤の選択が必要になる。医師に相談して、症状や生活スタイルに合った薬を使用することが大事だ。また、減感作療法を1年前から行う場合もあるという。

普段の生活で花粉を寄せ付けない工夫を

 日常生活で保護者が気を付けてあげられるのは、「寝具を外に出さない、帰宅時には衣服をよく払う、花粉が付きにくいコートなどの衣類を一番上に着させる、花粉用のゴーグルやマスクを着用させる」(同院長)といった対策を取ること。"これをやれば完全"という方法はないが、花粉症を体に付着させず、体内に取り入れないよう、これらの工夫を徹底するだけでもだいぶ効果はあるという。

 根治が容易でない花粉症は、幼いうちから発症すると、長い期間にわたって治療が必要だったり、症状に苦しんだりすることが考えられる。子供が発症していない場合でも、万が一の場合に備えて、身近な大人が日ごろから予防策を考えておくとよいだろう。

(編集部)

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