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手のしこり「ガングリオン」、放置しても心配なし

 2012年01月27日 16:07

 指の付け根や手首など手の甲側の関節周辺に、米粒からピンポン球ぐらいの大きさの腫瘤(しゅりゅう=しこり)ができるガングリオン。若い女性に多く見られる。神経のそばにできるとしびれや痛みなどが起こる場合もあるが、多くの場合が無症状だ。古東整形外科・内科(大阪府)の古東司朗院長は「良性で自然と治るため、放置しても全く心配はいりません」と説明する。

腫れないのに痛む「オカルトガングリオン」も

 手首などの関節を包んでいる膜の関節包や、指を動かす腱(けん)を包んでいる腱鞘(けんしょう)の中に、何らかの原因により、関節液がたまった袋ができる。これがガングリオンの正体で、腫瘤は軟らかいものから硬いものまである。全身の関節にできる可能性があるものの、古東院長によると、ほとんどが手首にできるという。また、女性に多く見られるが、その理由は謎だ。

 多くは痛みを伴わず、ただぷくっと腫れるだけ。「軟骨が出てきた」と勘違いをして来院する患者が多いという。腫れがないにもかかわらず強い痛みを感じる場合、関節の奥の方にできた小さなガングリオンである「オカルトガングリオン」の可能性もある。「テーブルに手をつくと痛むという患者さんを調べてみると、オカルトガングリオンだった例もあります」(古東院長)

保存療法で治療可能

 ガングリオンは液体の入った袋なので、腱鞘巨細胞腫、アテローム、骨腫瘍といった中身の詰まった腫瘍とは異なり、超音波(エコー)検査では低エコーとなり黒く映る。腫れは触るとつるつるしているので、専門医であれば簡単に見分けがつくという。

 「人にもよりますが、数カ月ほどすれば袋の弱いところに穴が開いて潰れるので,放置していても問題ありませんが,膨らみが不格好で恥ずかしいので治したい、痛くて仕事ができないという人は、整形外科で適切な治療を受けてください」と古東院長。

 治療は、麻酔をした上で細い注射針を腫瘤に刺す保存療法を行う。中の液体は、指で押すか放置すれば開いた穴から自然と出て行くので、吸引はしない。麻酔の時間も含めて5分もあれば治療が終わり、すぐに帰宅できる。再発率は20%という。

 古東院長は「ガングリオンは多くの場合、放置していても問題がないにもかかわらず、高い費用をかけて手術で摘出する患者さんもいます。一度、整形外科医に相談してください」と話している。

(宮下 直紀)

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