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ピロリ菌抗体陽性で糖尿病リスク2.7倍―米研究

 2012年02月01日 09:31

 米コロンビア大学のChristie Y. Jeon氏らは、60歳超のラテン系米国人を10年間追跡した研究から、ピロリ菌(Helicobacter pylori)の血清抗体陽性は糖尿病の発症リスクを2.7倍高めていたと、1月25日付の米医学誌「Diabetes Care」(電子版)に発表した。慢性的な感染症がサイトカインというタンパク質の値を上昇させることや、ピロリ菌が消化不良を起こすことから糖尿病リスクを高める可能性は示唆されていたものの、ピロリ菌感染が糖尿病発症につながることを示す研究結果は初という。

抗生物質とPPIによる治療が糖尿病予防戦略になるか

 Jeon氏らは、米カリフォルニア州のラテン系住民を対象に実施されている研究「SALSA」のデータから、試験開始時(1998~99年)で糖尿病がなく、単純ヘルペスウイルス1型、水痘ウイルス、サイトメガロウイルス、ピロリ菌、トキソプラズマの血清抗体検査を行っていた60歳超の高齢者782人を抽出、2008年まで追跡した。対象者の年齢中央値は68.7歳、38%は男性だった。

 追跡中、半年に1回の聞き取り調査と年1回の検査で、144人の糖尿病発症が確認された。発症者は試験開始時に血管系疾患歴が多く、過去の喫煙率が高く、LDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールが低く、血糖、インスリン、HOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)が高い傾向があった。ヘルペスウイルス1型、水痘ウイルス、サイトメガロウイルス、トキソプラズマの陽性率に差はなかったが、ピロリ菌の陽性率は発症者で高かった。

 性、教育、血管系疾患、喫煙、BMI(肥満指数)、血圧、コレステロール、ヘルペスウイルス1型を調整した発症率は、ピロリ菌陽性例で陰性例の2.69倍だった。

 なお、陽性者の11%はベースラインで消化管障害治療薬や制酸薬を服用し、0.8%は抗生物質を使用していたが、これらの薬の使用を調整しても関連は同様だった。

 Jeon氏らは、さらに大規模な研究でピロリ菌と糖尿病の関連が明らかになれば、糖尿病の予防戦略としての抗生物質とプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用によるピロリ菌治療を検証すべきとしている。

(編集部)

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