「お口が乾く」「舌が痛い」とき、どのような治療法がありますか?
2012年02月21日 17:00
<専門家へきいてみよう 「質問する」より>
〔症例〕 40代 男性
〔症状〕 最近、お口が乾いて舌がピリピリと痛みます。どのような治療法がありますか。
根本的な治療法はありませんが、人工唾液や保湿剤でお口のうるおいを保持します。
残念ながら根本的な治療法はありません。次の薬剤などを用いた対症療法を行います。
・人工唾液
・口腔乾燥症状改善薬
・保湿剤
・含嗽剤(がんそうざい=うがい薬)
口腔機能低下が原因で起こるドライマウスには、口腔機能訓練を行います。
頭頸部放射線照射後のドライマウスには人工唾液(サリベート®)を、シェーグレン症候群には口腔乾燥症状改善薬の塩酸セビメリン(エボザック®、サリグレン®)またはピロカルピン塩酸塩(サラジェン®)を使用します。
シェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺などの外分泌腺にリンパ液浸潤をきたす自己免疫疾患です。「お口の乾き(ドライマウス)」「目の乾き(ドライアイ)」を主な症状とし、自己抗体生産や全身性病変を発症する全身性自己免疫疾患です。ひとくちに、シェーグレン症候群と言っても、口腔乾燥を起こさない症例もあります。シェーグレン症候群の患者さんがすべて、ドライマウスというわけではありません。ドライマウスのみならず、ドライアイやその他の粘膜の乾燥症状を伴うときには、シェーグレン症候群の検査をする必要があります。
唾液腺マッサージも効果がありますので解説します。
(1)耳前部から頬にかけて、後ろから前に向かって円を描くように力強く圧迫。30秒程度マッサージする。
(2)指を下あごの骨の内側の軟らかい部分に当て、耳の下からあご下にかけて押す。
このとき耳の下からあごの先にかけて、指の位置を少しずつずらしながら、耳の下(耳下腺後部)・耳の前(耳下腺中央部)・頬(耳下腺前部)と、3回ほどに分ける。1か所をゆっくり5秒程度ずつ押す。
口腔ケアには、「歯磨きの徹底」「お茶や含嗽剤でのうがい」「保湿剤による口腔内の湿潤の保持」なども行います。
また、過度のストレスを自覚するときや、周囲からストレスの負荷が疑われるときには、カウンセリングや心身医学的な治療が必要となります。この際には、あまり気構えずに心療内科や精神科を受診することも重要です。
指導・監修
坂下 英明(さかした ひであき)
明海大学 歯学部歯学科病態診断治療学講座口腔顎顔面外科学教授