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女性に多い間質性膀胱炎―食事療法で症状改善も

 2012年02月29日 09:59

 間質性膀胱(ぼうこう)炎は、菌が見つからないのに通常の膀胱炎と同様の症状が起こる。患者数80万人ともいわれ、女性に多く、中には20年以上も苦しんでいる人がいる。原因不明で治療薬もないが、食事療法で症状が良くなることが分かってきた。

トイレ1日30回も

 間質性膀胱炎は、尿意が30分間隔で襲ってきて頻繁にトイレに行きたくなる、トイレに行ってもすっきりしない、尿が少したまっただけで切迫感があり、膀胱や下腹部にナイフでえぐられるような強い痛みが生じる―などの症状がある。トイレの回数は1日30回以上になることもある。

 こうした患者をこれまでに約1,800人診てきた京都市立病院泌尿器科の上田朋宏部長は「通常の膀胱炎は、大腸菌などが膀胱に侵入して炎症を起こします。ところが間質性膀胱炎は、症状は同じでも尿に菌が見つからない。抗生物質の服用で一時改善しても、また症状がぶり返します。繰り返す訴えに気のせいだと言われ、心療内科などを紹介されることがあります」と話す。

傷を刺激し炎症か

 なぜ菌がいないのに炎症を起こすのか。「食べ物に含まれるカリウムや酸、辛み成分のカプサイシンなどが尿中に排出され、ストレスやアレルギーなどで生じる膀胱内膜の小さな傷を刺激して炎症を起こすことが分かってきました」と上田部長。

 症状を悪化させる食べ物は、カリウムを多く含むタマネギ、キュウリ、トマト、シイタケなどの生野菜、バナナなど、かんきつ類をはじめ酢など酸性の飲食物、辛み成分を含むトウガラシ、ワサビ、カラシ、ショウガ、チーズやヨーグルトなどの乳製品、大豆食品も挙げられる。上田部長は、患者にこれらの食べ物を積極的に取る必要はないことを説明し、食事指導したところ症状の改善が見られたという。

 「2010年4月に、膀胱水圧拡張術が保険適用となりましたが、症状の改善は約50%で、6カ月後にはまた悪化するとの報告が多い。間質性膀胱炎と診断されたら、一度食事内容を見直してみてください」と上田部長は勧めている。

2011年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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