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初体験前の「割礼」で前立腺がんリスク15%減―米研究

 2012年03月19日 10:08

 文化や宗教上の理由により陰茎包皮の一部を切除する「割礼」は、現代でも国や地域によっては風習として継承されている。倫理的には賛否が分かれるが、医学的には性感染症の予防効果が報告されているのも事実。米ワシントン大学のJonathan L. Wright氏らは、米国の同一地域に住む3,400人を対象に行った研究から、割礼(包皮環状切除術含む)を性交渉初体験前に受けた人は、性交渉初体験後に受けた人および受けていない人に比べて、前立腺がん発症リスクが15%低下していたと、3月13日付の米医学誌「Cancer」(電子版)に発表した。今回の研究では性感染症について検討していないが、Wright氏らは「これまでに報告された割礼による性感染症予防効果を、あらためて裏付けた」としている。

「初体験前」「初体験後」「非割礼」に分類

 割礼は性感染症の予防効果が報告されているが、Wright氏らは性感染症による慢性的な炎症が前立腺がんの発症リスクを高める点に着目し、割礼と同リスクとの関連について検討を行った。

 対象としたのは、前立腺がんに関する研究に参加した米ワシントン州キング郡に在住する35~74歳の3,399人。1993年1月1日~96年12月31日および2002年1月1日~05年12月31日に前立腺がんと診断された1,754人(症例群)と、それと年齢層を一致させた前立腺がん非既往者1,645人(対照群)を比較した。なお、近親者で前立腺がんになった人がいる割合は、症例群で20.9%、対照群で10.8%と前者で高かった。

 対象を(1)割礼を性交渉の初体験前に受けた人、(2)初体験後に受けた人、(3)割礼を受けていない人―に分類して検討した。

WHOも推奨

 その結果、割礼を受けていない人と比べた前立腺がん発症リスクは、初体験前に受けた人で14%減と統計学的に有意な差はないものの減少傾向にあり、初体験後に受けた人では15%増だった。

 一方、割礼を初体験前に受けていない人(受けていない人+初体験後に受けた人)を基準とすると、初体験前に受けた人の前立腺がんリスクが15%低下することが分かった。

 Wright氏らは「割礼を性交渉初体験以前に受けた人は、以後に受けた人や受けていない人に比べて前立腺がん発症リスクが15%の低下を示した」と結論。割礼は世界保健機関(WHO)でもエイズウイルス(HIV)の感染予防対策として推奨されているが、これまでに報告された割礼による性感染症予防効果をあらためて裏付けたと結んでいる。

(編集部)

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