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葉酸添加の義務化後に特定の小児がんが減少―米国

 2012年05月30日 10:08

 子供の先天異常の予防に効果があるとされる妊娠中の葉酸摂取。米公衆衛生局は1992年、妊娠可能な年齢の女性に推奨する葉酸の摂取量を1日400マイクログラム以上と定め、1996年3月に穀物製品への葉酸添加を義務化した。米ミネソタ大学のAmy M. Linabery氏らは、葉酸添加の義務化後の小児がん発症率を分析。特定のがんで減少が認められたと、米医学誌「Pediatrics」(2012; 129: 1125-1133)に発表した。

腎芽腫など発症率が低下

 Linabery氏らは、米国のコネチカット、ハワイ、アイオワ、ニューメキシコ、ユタの5州と、デトロイト、サンフランシスコ-オークランド、シアトル-ピュージェットサウンド、アトランタのがん症例を集めたデータを利用。葉酸摂取の推奨が強化される前後の、0~4歳の小児がん発症率を検討した。

 1986~2008年で8,829人の子供ががんと診断された。胎児だった期間で分けると、3,790人が葉酸強化前、3,299人が強化後に該当した。

 全体で見ると、がん発症率は葉酸強化前後で同じだった。しかし、種類別では強化後の発症率低下が認められたものもあり、腎芽腫が20%低下、原始神経外胚葉性腫瘍が44%低下、脳室上衣腫で30%低下していた。

 腎芽腫は1986~97年に増加傾向にあったものの、1997~2008年には大きく減少。原始神経外胚葉性腫瘍は1986~93年に増加傾向にあったが、1993~2008年に急激に減少した。脳室上衣腫は調査期間を通して減少していたという。

動物実験で因果関係の解明を

 1997年以前に増加していた髄芽腫と神経芽腫はそれ以降横ばいになり、97年以前に横ばいだった網膜芽腫はそれ以降減少していた。

 急性骨髄性白血病、肝芽腫は葉酸強化前後で増加していたが、Linabery氏らは出生体重の傾向など、同期間の別の要因が影響している可能性を指摘。「腎芽腫と原始神経外胚葉性腫瘍について、複数の分析方法によって葉酸強化後の顕著な発症率低下が確認された。動物実験で葉酸以外の可能性をなくし、因果関係を確認する必要がある」とコメントしている。

(編集部)

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