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道路騒音が10デシベル上昇するごとに心筋梗塞が12%増

 2012年06月25日 10:07

 大気汚染が健康リスクを損なうことは周知の事実だが、騒音もストレスなどを引き起こし、健康に影響を与えることが知られている。デンマークがん協会がん疫学研究所のMette Sørensen氏らは、デンマークの都市部住民を対象とした大規模研究を分析した結果、大気汚染の影響を除いても道路騒音が10デシベル上昇するごとに心筋梗塞の発症が12%増加していたことを、米科学誌「PLoS ONE」(7(6): e39283)に発表した。

住民約6万人を10年間検討

 道路騒音と大気汚染は、ともに心臓病リスクになるとみられている。米国からは、双方がより多く発生する幹線道路の近くに住む人で、心筋梗塞後の早期死亡率が高いことも報告されている(関連記事)。

 Sørensen氏らは、1993~97年に実施された大規模研究を解析した。この研究は、コペンハーゲンとオーフスに住むがんにかかったことのない50~64歳の5万7,503人が登録。参加者は登録時に生活習慣や食べ物、健康状態、社会的要因などについて回答し、血圧と総コレステロールを測定した。

 同氏らは、デンマークの全国病院登録などのデータを使って初発の心筋梗塞を特定するとともに、1988年から発症までの居住記録を用いて騒音への曝露を個々に算出した。

 平均9.8年間の追跡期間中、1,600人が心筋梗塞を発症。大気汚染(窒素酸化物=NOx)、鉄道や空港の騒音などの要因を除いたところ、道路騒音と心筋梗塞の間には関連があり、騒音が10デシベル上昇するごとに心筋梗塞の発症が12%上昇した。糖尿病や血圧、総コレステロールの要因を除いても、騒音を受けた場合に心筋梗塞の発症が10%上昇しており、これらの結果は診断の5年前に受けた騒音でも同じだったという。

騒音暴露は短期・長期ともにリスクに

 致死的心筋梗塞は331人で発症し、騒音が10デシベル上昇ごとに発症率は17%上昇。騒音が大きくなるにつれて心筋梗塞の発症率が上昇するのは、42~84デシベルの範囲内でみられた。

 道路騒音はストレスや睡眠の妨害を引き起こすが、これらは高血圧や動脈硬化、耐糖能障害、炎症の危険因子とされている。

 今回の研究では騒音を診断時に受けていた場合と過去に受けていた場合のいずれも心筋梗塞の発症率が上昇していた。Sørensen氏らは、短期と長期の影響を分けて見ることは難しいが、どちらも心筋梗塞のリスクになるかもしれないと指摘している。

(編集部)

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