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左側を下にして寝ると心拍数が下がる―東北大

 2012年07月04日 09:59

 睡眠時の体位には個人の眠りやすさが反映されると考えられているが、年齢が上がるにつれ右側を下にした姿勢(右側臥位=がい)を好む割合が増え、慢性心不全患者では左側を下にした姿勢(左側臥位)を避ける傾向にあることが報告されている。東北大学大学院保健学専攻の丸山良子教授らが、健康な若年成人を対象に検討したところ、睡眠時の体位が心拍数に影響することが分かった。他の体位に比べ、左側臥位で心拍数が減少したという。この結果は、第37回日本睡眠学会定期学術集会(6月28~30日、横浜市)で報告された。

あおむけが6割で最多

 丸山氏らは、右利きの健康な若年成人10人(男性6人、女性4人、平均年齢22.3歳、平均BMI=肥満指数19.6)を対象に、睡眠時ポリグラフで脳波、眼電図、心電図、胸部・腹部の呼吸運動、体位を測定。全ての対象者が標準的な睡眠習慣を持ち、喫煙習慣、循環器疾患、呼吸器疾患、精神疾患、睡眠障害などにかかったことはなかった。

 事前に眠りやすい体位をアンケートで調査した後、対象者の自宅でそれぞれ2夜連続して睡眠時ポリグラフを測定。心拍数、血圧、高周波数成分、低周波数成分などの自律神経活動の測定については同大学で行った。

 その結果、実際の睡眠時体位はあおむけ(仰臥位)が62.5%と最も多く、次いで右側臥位19.9%、左側臥位16.1%、うつぶせ(腹臥位)1.2%の順だった。

 しかし、事前のアンケートでは眠りやすい体位の回答として最も多かったのは右側臥位(40.0%)であり、次が左側臥位(20.0%)、仰臥位、腹臥位、左右どちらでもよいはそれぞれ10.0%だった。

右側臥位で副交感神経が活動

 同大学実験室で体位別の心拍数を調べたところ、右側臥位、仰臥位、腹臥位に比べて左側臥位で減少していることが分かった。

 リラックス時に働く副交感神経の目安の高周波数成分は、腹臥位に比べて右側臥位で低下が観察された一方、活動時に働く交感神経の目安となる低周波成分と高周波成分の比については、体位による差は見られなかった。

 健康な若年成人では、睡眠中の体位変化がしても体内の調整が適正に働くことから、体位変化による影響は少ないと考えられていた。しかし、今回の結果から、健康な若年成人でも睡眠時の体位が影響することが示された。

 丸山教授は「今後、年齢層を広げ、睡眠時体位による生理学的な影響を検討していく必要がある」としている。

(編集部)

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