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命にも関わる腹部大動脈瘤、時々おなかのチェックを

 2012年09月04日 16:14

 おなかに血管のこぶができる腹部大動脈瘤(りゅう)は60歳以上に多く、見逃していると破裂して命に関わる。早期に発見するには、時々おなかの辺りを触ってしこりやこぶがないか確認するとよいという。

動脈硬化が関与

 腹部大動脈瘤はおなかの大動脈がこぶのようになる病気。東京医科大学病院血管外科の渡部芳子氏は次のように話す。

 「はっきりとした原因は分かっていませんが、加齢に伴う血管の変化をベースに動脈硬化などの関与が考えられています。問題は大動脈瘤ができても自覚症状に乏しく、見逃しやすい点です」

 実際、破裂してから大動脈瘤が発見されるケースが少なくない。

 「60歳以上に多く、それも加齢と共に増加しています。大動脈瘤はへその辺りにできやすいので、60歳を過ぎた人は時々おなかを触って、しこりやこぶ状のものがないかチェックすると早期発見につながります」(渡部氏)

 しこりやこぶ状の感触があったら、エコーやコンピューター断層撮影(CT)による検査のできる内科を受診するのが第一だ。

治療法は複数

 画像検査によって大動脈瘤が認められた場合は、血管外科の専門医を紹介してもらうとよい。「大動脈瘤が小さい場合は経過を見ますが、直径が5センチ以上になると、まず人工血管置換術といって、こぶの部分を人工血管に取り換える手術を考慮します」(渡部氏)

 この手術はおなかを切る必要があるため、体力的に難しい患者の場合はステントグラフト内挿術という選択もある。「ステントグラフト内挿術は、脚の付け根からカテーテルを挿入して人工血管で覆ったばね状の金属をこぶの部分に運んで修復するものです。手術に比べて患者さんの肉体的な負担は軽減しますが、適用条件があります」(渡部氏)

 適用条件の代表例が

  • 大動脈瘤の前後の血管に強い動脈硬化がない
  • カテーテルを挿入してステントグラフトを内挿する経路に障害がない

―など。

 渡部氏は「治療法については、病態と体力などを考慮してもらい、主治医とよく相談することです」と助言している。なお、日本ステントグラフト実施基準管理委員会のサイト「大動脈瘤のはなし」では、大動脈瘤の危険度診断を掲載中だ。

(編集部)

2010年5月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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