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ストレスは心筋梗塞の要因、交感神経働き血管が収縮

 2012年09月05日 16:14

 心筋梗塞の発症にストレスの関与が指摘されている。敬愛病院付属クリニック(東京都)の知久正明院長は「患者さんの半数以上はストレスを抱えているといわれます。ストレスによる交感神経の働き、血管の収縮などが影響するのです」と説明する。

冠動脈が詰まる

 高血圧、脂質異常、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、喫煙習慣などがあると、心臓の筋肉に栄養(血液)を送っている冠動脈に脂質に富んだ動脈硬化が形成される。ストレスなどで冠動脈が収縮を繰り返していると、この脂質部分が破綻して血管内に入り込み、血の塊が形成され血管を詰まらせる。

 これが心筋梗塞で、酸素や栄養素を心筋に供給できなくなって心筋は壊死(えし)し、体全体に血液を送るという心臓本来の役目ができなくなる。重症の場合は死亡することもある。

 血管の収縮や拡張のバランスを保つのには自律神経が関与している。ストレスに直面すると、自律神経のうちの交感神経が働く。すると、血管の内側にある血管内皮という細胞が血管を収縮させる物質を放出する。この細胞は血管を弛緩(しかん)・拡張させ、血流を促す一酸化窒素(NO)なども作り出しているが、交感神経の働きによって血管が収縮する方向に傾いてしまう。これが心筋梗塞につながる一因―というのだ。

ストレス度は測れる

 ストレスがあると血液中の酸化LDL(活性酸素で酸化された悪玉コレステロール)が増え、これも動脈硬化の進行を促す。また、ストレスで睡眠障害が続くと朝方の血圧が上昇し、血糖値も上昇するという悪循環を招く。

 ストレス度を知る検査がある。これは測定器で指先の脈を5分間測るだけ。ストレスがあると、交感神経が働いて脈の幅が狭くなる。これを利用した検査で、健康保険も適用されている。

 知久院長は「若い人の心筋梗塞には、原因がストレスや喫煙しか考えられないケースが増えています。日頃ストレスを感じている人は、心筋梗塞予防のために検査を活用するとよいでしょう」と勧めている。

(編集部)

2010年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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