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薬物乱用頭痛に注意<下> (頭痛に悩む5)

 2012年09月18日 16:03

 薬物乱用頭痛は、脳の神経細胞が興奮しやすくなった状態。「治療はまず、過敏になった脳の神経細胞を鎮める必要があります」と、東京女子医科大学病院脳神経外科頭痛外来の清水俊彦講師は説明する。

てんかん薬など使用

 片頭痛(関連記事)を基礎とした薬物乱用頭痛を治すには、基本的に生活習慣の改善が求められる。精神的・身体的ストレス、睡眠不足や睡眠過多、赤ワインやチーズ、チョコレートなどの摂取といった頭痛の誘因となることを避けることが大切。

 その上で、原因となっている鎮痛薬やエルゴタミン製剤の服用をやめることだ。その代わり、興奮しやすくなった脳の神経細胞を鎮めるために、バルプロ酸ナトリウムをはじめとした抗てんかん薬や三環系抗うつ薬など、片頭痛の予防薬として用いられている薬を使う。

 薬物乱用頭痛の症状の特徴は「毎朝ボワーッとした頭痛がある」こと。こうした予防薬を3カ月ほど服用し続けると、薬物乱用頭痛に特有の症状がなくなってきて、もともとの頭痛が姿を表してくる。

 そこで本来の頭痛を治療する。薬物乱用頭痛の根底には大抵は片頭痛があるので、片頭痛の治療薬であるトリプタン製剤を用いるのが一般的だ。

 また、甲状腺機能異常や副鼻腔炎、花粉症などを伴っているために片頭痛が悪化し、それが薬物乱用頭痛の要因となっている場合には、それらの病気を治療する。

治癒への意志が必要

 薬物乱用頭痛では不眠や目まい、それに「頭鳴」を伴うことも多い。頭鳴とは「頭全体で何か鳴っているような状態で、これも薬物乱用頭痛に特徴的な症状」(清水講師)だ。

 清水講師は「専門的には、1カ月に10日以上鎮痛薬を服用していて起こる場合などに『薬物乱用頭痛』と定義していますが、そうでなくてもこうした症状があれば薬物乱用頭痛が疑われるので、頭痛の診断や治療に詳しい医師の指導を受けることが大切です」と助言する。

 薬物乱用頭痛の治療には、本人の治そうとする強い意志が要る。個人の努力や知識だけでは治すことがなかなか難しいこともあり、場合によっては入院も必要になる。

(編集部)

2010年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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