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クローン病治療に広がり、通常の食事が取れる

 2012年09月25日 16:03

 クローン病は腹痛や下痢が繰り返して続く病気で、これまでの治療では食生活を厳しく制限する必要があった。東京医科歯科大学大学院消化器内科の渡辺守教授は「通常の食事が取れるようになる治療法が普及しつつあります」と新たな展望を話す。

10~20歳代に多い

 口から食道、胃、小腸、大腸、肛門と連なる消化管のどこかで、慢性的な炎症や潰瘍が起こる病気がクローン病。日本では欧米に比べて少なかったが、年々増加し、2007年時点で約3万人の患者がいる。10~20歳代の若い世代に発症のピークがあるという特徴もある。

 原因はよく分かっていないが、ウイルスや細菌から体を守る免疫機構が、何らかの理由で過剰に働いて起きると考えられている。炎症や潰瘍は、消化管の中でも小腸の終わりの部分から大腸に起こりやすい。

 そのため、腹痛、下痢、下血、治りにくい痔疾(じしつ)などの症状が表れ、進行すると発熱、貧血、体重減少が起こる。腸の内側が狭くなったり腸管から尻の表面まで「瘻孔(ろうこう)」と呼ばれる便の通り道ができたりすることもある。

8週に1回点滴

 クローン病は難病の特定疾患に指定されているが、最近、治療法が大きく変わりつつある。これまでは、主に炎症を抑える5-ASA製剤や副腎皮質ステロイドを使う薬物療法と、成分栄養剤などを用いた栄養療法の2本立てが基本だった。治療中でも、食生活はかなり制限されていた。

 ところが最近、抗TNF-α(アルファ)抗体製剤という薬が開発され、これを8週に1回点滴する治療を続けると、普通の食事も可能な患者が多くなることが分かった。早い段階でこの薬を使えば、病気の進行を抑える可能性も出てきたという。

 渡辺教授は「早く発見するために、腹痛や下痢を繰り返し起こす人の中で、血便や下血、治りにくい痔疾があったら大腸内視鏡検査を受けるべきです。すぐに消化器内科で相談してください」と助言している。

(編集部)

2010年9月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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