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長身の女性は卵巣がんリスク高い 英研究

 2012年10月12日 11:04

 英オックスフォード大学がん疫学部門のGillian Reeves氏ら国際共同研究グループは、世界中の疫学研究を解析した結果、身長やBMI(肥満指数)の高い女性では卵巣がんリスクが高まることが分かったと、米医学誌「PLoS Medicine」(2012; 9: e1001200)に発表した。身長が5センチ高くなるごとに卵巣がんリスクが7%、BMIが5上がるごとに10%上昇したが、BMIはホルモン補充療法(更年期障害の治療法)を行うと関連が認められなくなったという。

165センチでリスク14%上昇

 女性の身長やBMIが卵巣がんの発症率に関連することは、これまでの研究結果から示唆されていた。しかし、一貫した結果は得られていなかったという。

 Reeves氏らは、卵巣がんに関する研究47件の患者データ(卵巣がん患者2万5,000人超、卵巣がん患者でない女性8万人超)を解析。同氏らは、これらの研究について「中には未発表のものも含まれているが、このテーマに関する世界中のほぼ全てのデータを網羅している」と説明している。

 解析の結果、160センチ未満(平均154.8センチ)を基準として、身長が5センチ高くなるごとに卵巣がんリスクが7%上昇することが明らかになった。例えば、身長155センチの女性と比べ、165センチの女性では卵巣がんリスクが14%高いことになる。この関連は、閉経した女性でホルモン補充療法を行っていても変わらなかった。

 一方、BMIは25未満を基準として、閉経後にホルモン補充療法を受けたことのない女性ではBMIが5増えるごとに卵巣がんリスクが10%上昇した。しかし、ホルモン補充療法を受けた女性ではこの関連性が認められなかったという。なお、BMIは体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割ったもので、例えば身長160センチ、体重55キロの場合、BMIは21.5となる。

 Reeves氏は「身長がリスクと関連しているという結果は、卵巣がんが発生する仕組みを理解する上で重要と考えられる」と強調。「身長が卵巣がんリスクと関連している理由はまだ解明されていないが、幾つかの説明が考えられる。例えば、乳がん、前立腺がんなど他の複数のがんと関連付けられているインスリン様成長因子(IGF)-1値の上昇やがん化リスクのある細胞数の増加など、身長に関連する因子による生物学的影響が原因なのかもしれない」と述べている。

高身長化、高BMI化で10年間に患者3%増

 Reeves氏は、今回の研究について「ホルモン補充療法を受けていない閉経後女性では、BMIの増加に伴い卵巣がんリスクが上昇することが分かったが、今回の研究は体のサイズが卵巣がんリスクに及ぼす影響を検討したもので、ホルモン補充療法の推奨に関する情報を提供するものではない」と指摘。その一方で、「身長とは異なり、BMIは個人の努力により変えられるもの。この結果をがん予防の健康アドバイスに役立てることは可能だ」としている。

 また、「今回の研究では、少なくともホルモン補充療法を受けていない閉経後女性では、(女性ホルモンの)エストロゲン濃度が体脂肪量と関連していることが明らかになった。この事実からも、BMIと卵巣がんの関連性を一部説明できると考えている」と述べた。

 過去10年間に、高所得国の女性では平均身長が約1センチ 、BMIが1増加しているという。卵巣がんリスクに関連する他の要因の影響が一定だと仮定すると、身長と体重の増加によって10年間に卵巣がんの症例数が3%増加したことになる。

 研究を助成した英国がん研究会保健情報担当のSarah Williams氏は「適正体重を維持することにより、女性は卵巣がんだけでなく、他の病気のリスクを減らすことができる。最善の減量方法は、健康的な食品を選び、食事量を減らし、運動量を増やすことだ」とコメントしている。

(編集部)

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