メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  歯周病の治療「GTR法」、手術で歯周組織を増殖

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

歯周病の治療「GTR法」、手術で歯周組織を増殖

 2012年11月09日 11:47

 歯周病によって壊れた歯周組織の再生を促し、歯のぐらつきを止める治療法として歯周組織再生誘導法(GTR法)がある。「治療効果は大きい。ただ、誰でも受けられるわけではないので、歯科医に相談を」と、日本大学歯学部(東京都)の伊藤公一教授(日本歯周病学会理事長)は話す。

歯垢が組織を破壊

 歯周病は長期間にわたって歯垢(しこう=プラーク)が歯を支えている歯茎、歯の根の表面のセメント質、歯根膜および歯槽骨という組織を壊すため歯がぐらついて、やがて抜け落ちる病気だ。

 プラークは歯周病の原因となる歯周病菌の集まりで、歯の周りや歯と歯茎の隙間(ポケット)に入り込んで炎症を起こす。初期の頃は歯茎が赤く腫れたり、出血したりする程度だが、プラークを取り除かないと細菌がポケットの奥に侵入して歯根膜やセメント質、さらに歯を支える土台の歯槽骨まで壊す。

 「GTR法は壊されてなくなりつつある歯周組織、言い換えればまだ残ってぐらつく歯を支えている歯根膜、セメント質や歯槽骨を増やして、歯のぐらつきを止めようという手術です」(伊藤教授)

手術は1~2時間

 手術は歯茎を切開して剥がし、ポケットやセメント質上にたまったプラークを除去する。次に歯茎と歯根膜の間に人工繊維やコラーゲンでできた保護膜を装着した後、剥がした歯茎を元に戻して縫い留める。再生能力を持った歯根膜は増殖するが、歯茎が覆いかぶさると増殖能力が妨げられるため、その間に保護膜を入れて増殖を支援する。

 「手術は1~2時間で終了し、日帰り可能です。壊れた歯周組織が再生し機能を発揮するまでには1年ほどかかります」(伊藤教授)

 生体に吸収されない人工繊維でできた保護膜は健康保険の適用外だが、吸収性の人工繊維やコラーゲンの素材は適用される。

 GTR法はどこの歯科医療機関ででも受けられるとは限らないので、かかりつけの歯科医と相談してみるとよい。

 「この治療で歯のぐらつきがなくなっても、歯磨きを怠るとまたプラークがたまり元のもくあみになります。せめて、就寝前に正しい歯磨きを励行する努力をしてください」と伊藤教授は呼び掛けている。

(編集部)

2010年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

ワンクリックアンケート

治安は悪化している? この1年で防犯対策をしましたか?

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  歯周病の治療「GTR法」、手術で歯周組織を増殖