1日4杯超のコーヒーで口腔・咽頭がん死リスク半減
2012年12月21日 14:21
米国がん協会疫学研究プログラムのJanet S. Hildebrand氏らは、1日4杯を超える量のコーヒーを飲むと、飲んでない人や1日1杯未満の人と比べ、口腔(こうくう)がんや咽頭がんによる死亡リスク低下したと、12月9日発行の米医学誌「American Journal of Epidemiology」(電子版)に発表した。一方で、紅茶とリスク低下との間に関連は認められなかったという。
96万人を検討
さまざまな病気に対する予防効果が報告されているコーヒー。「あなたの健康百科」がお伝えしたものだけでも、糖尿病、肝硬変、うつ病、心不全と多岐にわたり、皮膚がんや死亡のリスクを下げることも報告されている。
Hildebrand氏らは今回、米国がん協会のがん予防研究「Cancer Prevention Study Ⅱ」(1982年開始、全米の45歳以上男女が対象)に参加した118万4,418人のうち、コーヒーや紅茶の摂取に関する情報が得られ、1982年当時にがんを発症していないなどの条件を満たした96万8,432人を対象とした。
研究開始時点でのコーヒー(カフェインまたはノンカフェイン)や紅茶を飲む量(1日当たり何杯か)と、過去10年間にその習慣に変化があったかどうかなどを集計。それによって下記のグループに分類した。
- コーヒーも紅茶も全く飲まない群(対照群)
- カフェインコーヒーのみ(コーヒー群)
- カフェイン・ノンカフェインコーヒーおよび紅茶(混合群)
- ノンカフェインコーヒーのみ(ノンカフェイン群)
- 紅茶のみ(紅茶群)
これらのグループからさらに、1日に飲む量によって1杯(237ミリリットル)未満、1~2杯、3~4杯、4杯超に分けた。なお、コーヒーを飲む量が1日20杯を超える人はあらかじめ除外。口腔がんと咽頭がんによる死亡については口唇がん、鼻咽頭がん、唾液腺がんによるものを対象外とした。
ノンカフェインコーヒーも関連認められず
26年(1982~2008年)の追跡期間中、口腔・咽頭がん死亡は96万8,432人中868人。口腔がんや咽頭がんとの強い関連が示される飲酒や喫煙などの影響を除外したところ、対照群と比べた口腔・咽頭がんによる死亡リスクは、コーヒー群の1杯未満で15%減、4杯超で42%減と、飲む量が増えるにしたがってリスクが低下した。
混合群でも同様の結果(1杯未満で5%減、4杯超で55%減)が得られたが、ノンカフェイン群や紅茶群ではリスク低下が認められなかった。
コーヒー群をさらに検討したところ、1日1杯未満に対する口腔・咽頭がんリスクは、男性(1~2杯で32%減、4杯超で46%減)、女性(1~2杯で33%減、4杯超で55%減)と、いずれも1杯以上の摂取で顕著な低下が示された。男女を合わせると4杯超で49%のリスク低下が認められたという。
Hildebrand氏らは、コーヒーが口腔・咽頭がんリスクを下げるメカニズムについてははっきりしないとしながらも、コーヒーにはカフェインだけではなく、ポリフェノールの一種であるカフェ酸、カフェストールとカーウェオールという2つのジテルペンが含まれており、これらの成分は酸化によるDNAの損傷を防ぐことが動物実験などで認められていると説明。「世界中で飲まれるコーヒーの健康的な効果が示唆され、非常に興味深い結果が得られた」と結んでいる。
(編集部)