メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  10年前のアスピリン常用で加齢黄斑変性リスク上昇 米研究

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

10年前のアスピリン常用で加齢黄斑変性リスク上昇 米研究

 2012年12月25日 09:44

 痛み止めの代表格であるアスピリン。最近は、がん予防効果に関する論文が相次いで報告されたことから、同薬への注目度は高まっている。一方で、眼科医からは加齢黄斑変性(関連記事)とアスピリンの関連を指摘する声も上がっているが、この関連の有無について明確な結論には至っていない。そうした中、米ウィスコンシン大学医学部のBarbara E. K. Klein氏らは「10年以上前にアスピリンを定期的に服用していた人では、加齢黄斑変性を発症するリスクがわずかながら上昇することが示された」と、12月19日発行の米医学誌「JAMA」(2012; 308: 2469-2478)で報告した。

早期加齢黄斑変性には影響せず

 今回、分析対象としたのは、米ウィスコンシン州の住民を対象に行われた加齢性眼疾患に関する研究のデータ。この研究では1988~90年の初回調査以降、2008~10年の直近の調査まで、5年間隔で20年にわたり調査が継続されている。

 対象者は登録時に43~86歳だった4,926人(女性が56%)。早期加齢黄斑変性、加齢黄斑変性(滲出型加齢黄斑変性、萎縮型加齢黄斑変性)の発症を眼底検査で評価し、眼底検査のたびにアスピリンの定期的服用(週2回以上を3カ月以上)について自己申告で回答してもらった。

 平均14.8年の追跡期間で、早期加齢黄斑変性は512人、加齢黄斑変性は117人で発生していた。検査の5年前、10年前の定期的なアスピリン服用による早期加齢黄斑変性リスクは、アスピリンを定期的に使用していない場合との差が認められなかった。

滲出型でリスク上昇

 加齢黄斑変性リスクについては、5年前の定期的なアスピリン服用では差が認められなかったものの、10年前の定期的なアスピリン服用ではリスクが1.63倍に上昇していた。

 加齢黄斑変性の分類別に見ると、10年前の定期的なアスピリン服用は滲出型で発症リスクが2.20倍だったのに対し、萎縮型では差がなかった。

 今回の研究ではアスピリンの1日用量との関連についても検討したが、早期加齢黄斑変性および加齢黄斑変性の発症率への影響は示されなかったという。

 Klein氏らは「アスピリンの10年前の常用歴は、滲出型加齢黄斑変性の発症リスクの上昇と関連していた。今後、さらにデータを集める必要はあるが、心臓病の再発予防を目的としてアスピリンを服用している患者が、将来の加齢黄斑変性を心配せずに済むよう、メカニズムの早急な解明が差し迫った課題となりそうだ」と締めくくった。

(編集部)

ワンクリックアンケート

円安水準を更新。円安で何を思う?

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  10年前のアスピリン常用で加齢黄斑変性リスク上昇 米研究