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多彩な症状のベーチェット病、最初に口の粘膜に潰瘍

 2013年02月15日 12:01

 古代ギリシャの医者ヒポクラテスの時代からあったともいわれるベーチェット病は、皮膚や粘膜をはじめ全身にさまざまな症状が表れる自己免疫疾患で、原因不明の難病だ。研究が進み、効果的な治療薬も使われるようになっている。

皮膚、陰部、目にも

 わが国のベーチェット病の患者数は約1万8,000人で、30~40歳代で多く発病する。主症状として、まず口の中の粘膜に円形の浅い潰瘍(アフタ性口内炎)ができて再発を繰り返す。皮膚症状、陰部潰瘍、眼症状も表れることが多いが、4つの症状が同時に出現するわけではない。

 横浜市立大学付属病院(神奈川県)リウマチ・血液・感染症内科の石ケ坪良明主任教授が、同科を受診したベーチェット病患者412人について調べたところ、1つの主症状が単独で表れる確率は70%以上で、2つ以上が同時に表れるのは10%以下だったという。主症状の中でも、眼症状は両眼に強い炎症が繰り返し起こり、視力が低下していって失明に至ることもあるので、警戒が必要だ。

 さらに、関節炎、中枢神経病変、消化器病変、血管病変、精巣上体炎(副睾丸=こうがん=炎)などの副症状が出ることもある。特に腸、神経、血管の病変がある場合は特殊型と呼ばれる。石ケ坪主任教授は「主症状は比較的早く、特殊型は遅れて出てくることが多いのです」と指摘する。

遺伝や環境が関係か

 発症には遺伝や環境が関係していると考えられているが、詳しくは分かっていない。症状のほとんどがこの病気特有のものではないため、診断しにくい一面もある。

 治療は対症療法が主体だ。わが国では数年前、炎症反応に関係する生体内の物質の働きを抑えるTNF阻害薬が、眼症状に対して保険で使えるようになり、画期的な効果が報告されているという。また、「特定疾患」に指定されているため、認定されれば医療費の公費助成が受けられる。

 石ケ坪主任教授は「ベーチェット病は、早期に診断・治療されるようになってきています。TNF阻害薬の特殊型に対する有効性も報告されており、今後、適応の拡大が期待されます」と話している。

(編集部)

2012年2月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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