リンゴやセロリで喉がかゆい、成人の食物アレルギー
2013年02月22日 12:01
リンゴやセロリを食べると喉がかゆくなるなどの成人の食物アレルギーには、花粉症が関係しているという。ひどい場合は強い全身症状が出ることもあるが、アレルギーの専門医でないと診断が難しい。国立病院機構相模原病院(神奈川県)臨床研究センターの福冨友馬氏に聞いた。
3割は果物・野菜で
食物アレルギーは、ある特定の食物を食べることによって起こるアレルギー。3歳以下の子供に多く、卵、牛乳、小麦が主な原因になっている。一般に食物アレルギーは、原因となる食物を繰り返し食べるうちに、抗体ができてアレルギー反応が起きると考えられている。
成人になって発症することも珍しくない。成人の場合は子供とは原因や病態が異なり、特にリンゴ、サクランボなどバラ科の果物、豆乳、セロリ、ニンジンなどセリ科の野菜摂取で、唇が腫れたり、喉(咽頭)にかゆみが出たりする。まれにアナフィラキシーといって、食べてから短時間でぜんそくのようなせきが出たり、血圧が低下して意識がもうろうとしたりすることもある。
国立病院機構相模原病院臨床研究センターによると、成人の場合、食物によるアナフィラキシーの原因となった食物で最も多いのは果物・野菜で、全体の約30%を占めるという。
ヒノキと飛散同時期
福冨友馬氏は「成人の果物・野菜アレルギーには、花粉症が関係しています」と指摘する。特に、シラカバやハンノキなどカバノキ科の花粉症の人がリンゴなどを食べて発症することがある。アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)に似た物質がリンゴにもあるため、反応することが分かってきた。
同センターを受診する成人の花粉症のアレルゲンはスギ・ヒノキ(72%)、イネ科(24%)の順に多く、カバノキ科(22%)はそれに次ぐ。
成人の食物アレルギーを予防するためには、まずカバノキ科花粉症にかからないことだ。カバノキ科は公園などにもある落葉樹で、その花粉症は3月中旬から5月にかけて多くなるという。
福冨氏は「同じ時期に飛散するヒノキの花粉症と思っていても、実際はカバノキ科の可能性もあります。受診する場合はアレルギー科を」と助言している。
(編集部)
2012年3月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)