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子供との同居がピロリ菌再感染のリスクに―南米研究

 2013年03月15日 19:31

 胃がんの予防で重要なのが、原因の9割以上を占めるピロリ菌(Helicobacter pylori)を取り除くこと。日本では、胃炎でも除菌治療に健康保険が適用されるようになった(関連記事)。しかし、日本ではまれだが、除菌後しても再感染してしまうケースもある。米バンダービルト医療センターのDouglas R. Morgan氏らは、南米の7地域でピロリ菌の除菌治療を受けた1,463人を検討したところ、再感染リスクの一つに「子供との同居」が挙げられると、2月13日発行の米医学誌「JAMA」()に発表した。処方された薬を定められた通りきちんと飲まないことも、再感染リスクを高めていたという。

再感染率は日本の4~10倍

 ピロリ菌の除菌療法の流れは一般的に、まず検査(胃の内視鏡検査、血液、尿、呼気)で感染しているかどうかを調べ、感染している場合は胃酸の分泌を抑えるPPIという薬とともに3種類の抗生物質を1週間服用する。1カ月後の検査(尿素呼気試験)で除菌に失敗したと判定された場合は、抗生物質を1種類変えて再び1週間服用する。最初の治療の除菌成功率は70~90%、再治療の成功率は90%以上といわれている。

 Morgan氏らは、2009~2011年に南米7地域でピロリ除菌療法を受けた21~65歳の1,463人を対象に、除菌成功1年以内の再感染率とその原因を検討。参加者は、(1)3種類の抗生物質を14日間投与するグループ(3剤療法)、(2)2種類の抗生物質を5日間投与してから3種類の抗生物質を5日間投与するグループ(逐次療法)、(3)4種類の抗生物質を5日間投与するグループ(同時療法)―にランダムに分類された。

 検討の結果、治療後に尿素呼気試験が陰性(除菌成功)で、1年後に同じ検査を受けた1,091人のうち125人が陽性を示し、再感染率は11.5%だった。再感染リスクは、最初の治療の際にきちんと薬を飲まなかったことが2.94倍と高く、子供の同居も1.17倍だった。なお、日本の再感染率は1~3%程度と報告されている。

 一方、最初の治療後に尿素呼気試験が陽性(除菌失敗)だった281人のうち138人が再度除菌療法を受け、1年後の検査で陰性だったのは93人だった。

 全体の除菌成功率は79.3%で、治療法別では3剤療法で80.4%、逐次療法で79.8%、同時療法で77.8%。1年後の除菌成功率は全体で72.4%、除菌成功と薬をきちんと飲むこと、男性、年齢との間に関係が認められた。

(編集部)

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