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あなたの要介護リスクは? 学会が「ロコモ度テスト」発表

 2013年05月31日 11:40

 日本整形外科学会は5月27日、運動器(運動に関わる骨、筋肉、関節など)の障害で要介護・寝たきりになる可能性が高い状態を指す「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群、以下ロコモ)のリスクを、手軽に判定する「ロコモ度テスト」を発表した。「立つ」「座る」という移動に必要な動作に加え、25項目にわたって体の状態などを確認することで将来的なリスクを見えるようにし、国民に運動習慣の重要性を認識させる狙いがある。記者会見に臨んだ関係者は「ロコモ度テストを通じ、運動で健康寿命を守ることの大切さを知ってほしい」と呼び掛けている。

国も認知度向上へ目標を設定

 ロコモとは、同学会が超高齢社会への備えとして健康寿命の延長を最重要課題の一つに掲げ、2007年に提唱した。2010年には「ロコモ チャレンジ!協議会」が発足し、本格的な普及に乗り出している。

 同学会が行った2013年度の調査によると、国民への認知度は26.6%と前年度に比べ9.3ポイント上昇した。厚生労働省は、2013年から第2次計画を始めた「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の中で、認知率の向上を目標に掲げている。

 同学会の岩本幸英理事長(九州大学医学部教授)は、腰痛が体の不調の訴えで最も多いことに触れ、「運動器障害は要支援・要介護の最大要因であり、運動機能を守ることは整形外科医の使命」と主張した。

20代から定期的なチェックを

 ロコモ度テストでは、移動に不可欠な下肢筋力や歩幅などを調べる。移動能力の測定には、脚力を測る「立ち上がりテスト」、歩幅を測る「2ステップテスト」の2種類がある。立ち上がりテストはまず、40センチの台に両腕を組んで腰掛け、両脚を肩幅、床に対してすねが70度になるようにし、反動をつけずに立ち上がる。次に、今度は左右どちらかの脚を上げた状態で立ち上がり、そのまま3秒間保持。成功したら10センチずつ低い台で挑戦する。

ロコモ:立ち上がりテスト

年齢相応の脚力

男性女性
20歳代 片脚 20センチ 片脚 30センチ
30歳代 片脚 30センチ 片脚 40センチ
40歳代 片脚 40センチ 片脚 40センチ
50歳代 片脚 40センチ 片脚 40センチ
60歳代 片脚 40センチ 片脚 40センチ
70歳以上 両脚 10センチ 両脚 10センチ

 一方、2ステップテストは、両足の爪先を合わせ、できる限り大股で2歩進んでから両足をそろえる(バランスを崩した場合は失敗)。2歩の歩幅(センチ)を身長(センチ)で割った値が「2ステップ値」。いずれも、無理をしてけがをしないよう気をつけることが肝要だ。

ロコモ02

年齢相応の2ステップ値

男性女性
20歳代 1.64~1.73 1.56~1.68
30歳代 1.61~1.68 1.51~1.58
40歳代 1.54~1.62 1.49~1.57
50歳代 1.56~1.61 1.48~1.55
60歳代 1.53~1.58 1.45~1.52
70歳代 1.42~1.52 1.36~1.48

 さらに、過去1カ月の運動器に関わる体の状態と生活状況を、25項目の自記式質問票でチェックする「ロコモ25」もあり、この3つのうち1つでも年齢相応の基準値に達しなければ、将来、ロコモになる可能性が高いとしている。

 テストの概要を説明した「ロコモ チャレンジ!協議会」の石橋英明委員(伊奈病院整形外科部長)は「現時点で基準に達していても運動機能は加齢とともに低下するので、予防には定期的なチェックが必要」と述べ、20歳代からの利用を促した。

(編集部)

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