利き手や利き目はいつ頃決まるの?
2013年06月18日 10:50
利き手や利き目というのは、生まれてからいつ頃の段階で決まるものなのでしょうか。また、遺伝するのでしょうか。利き手と利き足、利き目が、同じ人で左右違う場合もあるみたいですが、法則などもあるのでしょうか。トヨコ(女性 30代)
利き手は4歳頃に決まり、遺伝による影響は少ないと考えられています。
利き手が左の人は、人種や民族に関係なく10%くらいと報告されています。また、日本人と対象とした調査では、利き足が右の人は男性60%、女性70%、利き目も右が多く、男性63%、女性57%という結果でした。
なお、利き足や利き目は、幅跳びの踏み切りやボールを蹴るなどをどちらの足で多く行うか、ビンの中をのぞいたり、手の隙間から遠くを見たりするのは、どちらの目なのかによって判断しています。頻度から考えても、利き手と利き足、利き目の左右違う人がいらっしゃることは予測できますが、何故左右が統一されないのかは分かっていません。
50年前に米国で、数十人の子供を生後8週から10歳まで10年にわたって観察し、利き手を判定した調査が行われています。乳児期には両利きの時期や利き手の交代を何度も認め、2歳頃には利き手がはっきりしてくるとのことです。その後、3歳前後でもう一度両利きになり、4歳頃、ようやく利き手が固定してくるとの結果が得られました。
この調査によって利き手は4歳ぐらいに決まると考えられるようになり、成長、発達に伴って何回も利き手の交代が起こることもわかりました。
しかし最近、英国で1,000人の妊婦さんを対象に超音波で妊娠10~12週頃の胎児を観察すると、胎児が頻繁に指しゃぶりをしていた親指側の手が利き手になるとの結果が報告されました。これが事実であれば、「4歳頃に利き手が決定」という学説が覆されます。
遺伝に関しては、一卵性双生児でも一人は右利き、もう一人は左利きになる例があることから、遺伝の影響が少ないのではないかと考えられています。
「右利き・左利き」については、左右の脳の役割分担や協調性によるなどさまざまな説があり、いまだはっきりと解明されておらず、分からないことが多いのです。
中野 里美(なかの さとみ)
1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。