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耳が詰まる耳管狭窄症、重い難聴になる恐れ

 2013年07月18日 10:30

 耳管狭窄(きょうさく)症は、耳が詰まっている感じや小さな声が聞こえにくいなどの症状が起こる。背景には風邪や副鼻腔(びくう)炎(蓄膿=ちくのう=症)などがあり、放置しておくと重い難聴になる恐れがある。特に年配者は、早めに耳鼻咽喉科を受診した方がよいという。杏林大学医学部(東京都)耳鼻咽喉科の守田雅弘准教授に聞いた。

耳管が炎症で腫れる

 耳は、外側にある外耳と内側にある中耳を薄い鼓膜が隔てている。中耳の先では耳管という細い管が鼻と耳をつないでいて、中耳内の空気の出入り、つまり換気と外耳との空気の圧力バランスを保っている。

 「ところが風邪や副鼻腔炎などによって耳管に炎症が起きて粘膜が腫れたり、中耳炎によって耳管に粘液がたまったりすると、耳管の内腔が狭くなり、換気や空気の圧力調整がうまくできなくなって症状が出るのです」と、守田准教授は説明する。

 診断では、聴力検査をはじめ鼓膜の動きの検査や耳管の空気の通り具合の耳管機能検査などが行われる。

鼻は片方ずつかむ

 治療では、原因となっている病気にアレルギーが関係していれば抗アレルギー薬、たまった粘液を溶かす薬、さらに感染症が見られるときは抗生物質が使われる。重症化した場合はステロイド薬を用いる。

 こうした治療でも空気の通りが良くならないときは、鼓膜を少し切開してそこに直径3ミリ、長さ5ミリのシリコーン製の鼓膜チューブを装着して換気を図る手術を行う。

 さらにそれでも改善しない場合、守田准教授は鼓膜チューブとつなげた長さ3センチの細いチューブを耳管の中に挿入し、換気を良くする方法を開発して行っている。

 「風邪を引くと耳管狭窄症になりやすいので、早く薬を飲んで風邪を治してください。また、鼻は強くかまないこと。一度に左右両方かまないで、片方ずつ軽くかむこと。鼻水を強くすすると、耳管を通して中耳の方に粘液や細菌が逆流して炎症を起こす恐れがあります」と、守田准教授はアドバイスしている。

(編集部)

2012年5月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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